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 “全品270円居酒屋”として、全国に100店舗近くあった「金の蔵」が現在は1店舗だけとなっています。運営会社の社長が大量閉店の裏側を明かしました。

■「毎月5億円失う」…人気絶頂からの転落

超・激安路線で人気を集めた、通称「きんくら」 この記事の写真 客(2009年)
「270円で来たようなもの」
「安いよね。学生でも来れちゃう」

 全国の繁華街で、目を引いた黄色い看板。「金の蔵」通称「きんくら」は2009年にオープン。タッチパネル式のオーダーで人件費を削減し、超・激安路線で人気を集めました。

金の蔵 池袋サンシャイン通り店

 破竹の勢いで、オープンから2年で全国に100店舗近くまで拡大した「きんくら」でしたが…。

50代
「もう無いのですか?1店舗は衝撃ですね」 40代
「びっくりしました」 20代
「飲み屋街には、基本1店舗あるようなイメージでしたけど。えって、驚きですよね」 サンコーマーケティングフーズ 長澤成博社長

 運営する「サンコーマーケティングフーズ」の社長が取材に応じ、人気絶頂からの転落を振り返りました。

社長「毎月5億円失う」 長澤成博社長
「高額な賃料というものが、毎月毎月発生するという形になりますので。キャッシュもあっという間に、底をついてしまったこともありまして。一気に閉店しようという形にかじを切りまして。毎月の残高が5億円ずつぐらい減っていくのですよ。閉店するしかないということですね」 コロナのまん延…「働き方改革」が大打撃

 大量閉店の決定打は、宴会需要の減少です。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)だけでなく、「働き方改革」が大打撃になりました。

長澤社長
「いろんな何とかハラスメントという問題を惹起(じゃっき)したり。大人数でというところも抑制的になっていたということもあって。まず一つは、コロナ前の段階で」

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■「東京チカラめし」も…大阪市に1店舗のみ

■「東京チカラめし」も…大阪市に1店舗のみ

「東京チカラめし」も運営に失敗

 大宴会もできる席数が一転して、負債を大量に積み上げる重荷に…。サンコーは、焼き牛丼を主力商品に急成長した「東京チカラめし」も運営に失敗。2年で100店舗以上出店して現在は、大阪市に1店舗を残すのみになっています。

社長「人材を育成できなかった」 長澤社長
「(東京チカラめしは)1年間で80店舗くらい出店したのですね。その出店を支えるだけの人材を育成できなかったという、これが一番大きかった。1号店、2号店では出せたクオリティーがお客様に提供できなくなってしまったり。業績が悪化していくという形になりましたので、一気に閉店をしていくという形を取りました」

■“お魚新業態”3度目の挑戦 元店長たちも

サンコーが生き残りをかけた新機軸は…

 大量閉店後は、清掃事業を始めたり、官公庁の食堂運営を始めたり、2つの人気ブランドを衰退させたサンコーが生き残りをかけて打ち出した新機軸があります。

社長「水産業」 長澤社長
「一番インパクトがあるなと思っているのは水産業。コロナ禍の中で出会いとご縁がありまして、水産業というのが一つの基盤として、確立しつつある状況です」 漁港で働いていたのは「きんくら」元店長

 静岡県の沼津漁港を訪れてみると、働いていたのは、「きんくら」の元店長たちです。

サンコー 沼津支店 今村孝徳さん
「名古屋の店舗で店長やっていました」
「(Q.金の蔵の店舗?)そう、そう」 坂詰敬裕支店長
「サンコーの中でフランチャイズの責任者までやって、一応フランチャイズの責任者は15年ほどやっていて、その後、沼津に至るみたいな」 サンコーは漁業協同組合の一員に

 漁師の後継者不足と社員の働き口がマッチして、サンコーは今や、れっきとした漁業協同組合の一員です。

自社漁船「三光丸」

 手掛けるのは、市場から魚の仕入れや加工、出荷にとどまらず、自社の漁船を持っていて漁にも出ます。

長澤社長
「定置網、提携させていただいている先とかですと、季節によっていろんなものが入ります。自社船とサンコー船団、2024年の12月ぐらいまでに40隻ぐらいまで増えていきそうな感じになっているのですね」

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■“山手線の外側”に小さな店を…方針転換

■“山手線の外側”に小さな店を…方針転換

居酒屋と鮮魚店を融合させた「アカマル屋鮮魚店」

 こうした魚を活かした業態が、居酒屋と鮮魚店を融合させた「アカマル屋鮮魚店」です。


「やっぱり魚がおいしい。埼玉ではなかなか魚が新鮮な所はない」
「おいしいです、新鮮で」 社長「船団の魚を自分たちの店にダイレクトに」 長澤社長
「うちにしかできないモデルというのですかね。(サンコー)船団の魚を自分たちの店にダイレクトに出していく。そのことにお客さんが喜んでいただき、漁師の生活安定を提供しつつ、ご支持いただけるような感じになってきていますので」 “山手線の外側”に小さな店を…方針転換

 「きんくら」は“山手線の内側”に大きな店舗を出して失敗したので、“山手線の外側”に小さな店を出すことに方針転換したといいます。

長澤社長
「主力事業によって稼いでいた、売り上げの80%くらいはなくなるという形になりますので。とにかく新しい売り上げの柱を作らないといけないと。本当はもっと主力事業が順調な時に、新規事業をやっておくべきだったとは思うのですけれども」 「アカマル屋鮮魚店」で再び勢いを取り戻せる?

 一世を風靡(ふうび)しながらも、あっという間に縮小した「きんくら」「東京チカラめし」。「アカマル屋鮮魚店」で再び勢いを取り戻すことができるのでしょうか?

長澤社長
「回り道した分、水産と飲食の基盤をくっつけて、事業化していこうと。その手応えを今、かなり感じているところでございます。とにかく、この魚を使ったお店をどんどん増やしていこうと、今やり始めているところです」

 長澤社長は自分たちで漁に出てとった魚を店で提供するという、商売の原点に立ち返って再起を図るということです。

(「グッド!モーニング」2024年5月3日放送分より)

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