日経平均株価が初めて4万円の大台に。まだ割安なのか?今後の見通しは?物価高に負けないお金の増やし方を投資のプロに聞いてみた。今回は特別ゲストにネットやSNSで話題のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏を迎えた。

日経平均株価は2025年から2026年には5万円超?

――日経平均株価は過去にも同じ動き?

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
1万5000円から2万円にいったときと今年の1月から3月までの動きとぴったり。1回2万円台超えたときに跳ね返されて、もう1回2万円にいって跳ね返されて、1回調整が入った。ここからもう次のステージで、2021年も3万円に1回乗って跳ね返されて、乗って跳ね返されて、半年ぐらい。また大きい調整が入って次のステージ。これが日経平均が大台に乗っかるパターン。だから4万円から5万円にすぐにいくことはまずない。日本人の投資家のマインドがこの数字に慣れないといけない。4万円が定着して割高じゃないと思ったときに次のステージへ。
もう一つの特徴は何なのかというと、2万円から3万円まで6年、3万円から4万円は3年しか経っていない。4万円から5万円はというと「2年」さらに短くなる。

日経平均株価が、30万円に!? いつ到達する?その条件は?

――エミン氏は、日経平均株価がいずれ30万円になるという大胆予想をしているが?

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
なぜその数字を出したかというと、日本株のサイクルを調べたところ、1878年にスタートして、そこから1920年まで約40年間上昇して、そこから1943年に調整する。40年の上昇の後、23年の調整。1943年に何があったかというと、日本には当時はいっぱい取引所があったが、取引所を統合した。戦後、日本の株式市場は4年間休みになる。再スタートしたのは1949年。そこから1989年まで40年間上がった。そこからは23年後、2013年に何があったかというと、大証と東証が統合した「取引所統合」。つまり戦前と戦後で全く同じパターンで40年間上がって23年(で調整)。これが日本株のスーパーサイクル。今回も2013年から2053年までの40年間の上昇サイクルの中にある。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
2013年。その最初がアベノミクスだった。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
アベノミクスだし、新NISAのスタートだし、いろんな意味でいろんなものが重なって必然的という状況にあり、かつ、過去の例でいえば、戦前のサイクルと株価は、実は300倍になっている。戦後のサイクルだと、日経平均は225倍になっている。だから本当は30万円というのは過去のサイクルからするとものすごく保守的に言っている。その根拠というのは、30万円と言ったとき、日経平均は1万5000円だった。過去のサイクルの中で、頭と尻尾だけ切って真ん中をとったらどうなるんだと調べた。つまり、あまりにも割安だった最初の方とあまりにもバブっていた最後の方を切って、真ん中の20年間を取ったら株価指数の上昇は大体20倍。だから、1万5000円掛ける20(倍)で30万円には、次のサイクルではまず楽々行くだろうなと言って出した数字。これは1万5000円の時に出したので、その意味では多分30万円はもう楽々行くと思う。もっとバブルかもしれない。おそらくこのサイクル上でいうと、下手したらインフレなどがもっと加速して大変なことになるかもしれない。100万円とかになるかもしれない。その可能性は十分ある。

AI・半導体ブームはどこまで続くのか。エコノミスト・為替ストラテジストのエミン・ユルマズ氏を特別ゲストに迎えて聞いてみた。

――今後の日経株価に影響に与える、AI・半導体ブームはどこまで続くのか。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
何事も大体「理想相場」が1回盛り上がって下がって、今度は「実績相場」になるのでAIというのは今「理想相場」。実際の利益がまだ出てない。利益出そうな感じはあるが、まだ出ていない。この間、Metaの決算説明会も聞いていたが、ザッカーバーグ氏が50回ぐらい「AI」と言っていたが、どうマネタイズするかというのは具体的には言わない。よって今のAI株の盛り上がりは「理想相場」。1回落ち着くと思う。今バブル化しているので1回落ち着いて、次に本当にマネタイズが始まったときには次の相場が来る。ITバブルと一緒だ。
当時もいろんなものが「インターネット」と盛り上がって1回バブルが崩壊して下がってその後でも、GoogleとかAmazonは「実績相場」が来て、また上がっていった。だから1回落ち着くと思う。状況的には今バブっている。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
5月のNVIDIAの決算あたりがターニングポイントになりうるかもしれない。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
NVIDIAも昨日どこかで読んだが、雇用をフリーズしているといっている。もう雇用をこれ以上やらないということはもう成長しないといってるようなもの、もしくはもう十分、人を雇ったからしばらく成長は大きく続かないといってるようなもの。ただウォールストリートの予想とかはあてにならないから、わざと低めに出して絶対に予想を上回るようにしてる気がする。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
AIブームといっているけれど、僕もAIバブル、ミニバブルだと思う。バブルというのはいつまで続くか、どこで終わるかなんてわからない。2024年の年内いっぱい続くのかもしれないし、それこそもう5月でターニングポイントになるかもしれない相場だと思う。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
「理想相場」だと思う。ただ天井をうった可能性もある。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
そこでやはりAIと半導体というものは区別して考えなくてはいけない。AIに関しては、いまエミン氏が話したように「これでどうやって儲けるの?」と、実はまだ具体的なものがいっぱいあるわけではない。でも半導体というのはAIの会社が必要としている「道具」。実際NVIDIAの作っている「道具」がものすごい高い値段で、馬鹿みたいに売れている。半導体会社の多くは儲かると思うが、AI会社が儲かるのかどうかということだ。そこがまだ「絵に描いた餅」といったら言い過ぎだが、ちょっと期待が高すぎるという気はする。

日銀「政策金利の据え置き」を決定。円安はどこまで進む!?

――あと注目点が為替。4月26日、日銀の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定。
その影響でかなり円安が進み、4月27日時点で、158円37銭。非常に心配だ。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
為替というのは本当に難しい。株よりも実際難しい。取引高も大きく流れが1回できてしまうとそれを止めることはなかなか難しい。なので4月26日の日銀のメッセージというのは少なくとも円安は日本、日銀のプライオリティではないという。だから「私たちは円安を気にしてません」というメッセージを出してしまったので、多分訂正されないと思うが、訂正されない限りはこの流れが止まることは難しいと思う。ただ、もちろんどこかにポイントはあると思う。だからこれを盛り上げてる人たち、つまり実需のドル買いと投機筋というのはどこかに、利確ポイントはある。もうこうなったら諦めて、口先介入もしないで放っておいた方がいいと思う。ただ、その危険性はコントロール不能な状態に陥る可能性がある。日本は通貨危機を体験していないからわからないが、最後の方に何が起きるかというと1日で10円ぐらい上がったりする。そういうことをずっとポンポンと上がって暴落状態になる。それがセリング・クライマックス(下落相場の最終局面で、出来高や売買代金を伴って大幅に株価などが値下がりすること)になって通貨危機になり、緊急利上げで終わる。つまりそういうことまで日本当局が想定しているかというと多分想定していない。でも警戒はした方がいい。僕はこういうことを(出身の)トルコでいっぱい見てきた。だから4月26日のほぼ3円ぐらい、2日で上がっているので、少し前兆のような気がする。だからこれは、はっきり言って介入するポイントをもう超えてしまった。ここで介入して失敗したらなおさら、調子に乗ってしまう(はずみがついてしまう)。180円位までいってしまう。だから介入はしないで利上げを匂わせた方がいい。放っておいて少しずつ利上げを匂わす。するとどこかで多分止まる。下手に介入して失敗したら、もう上にいく(円安が進む)。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
いま介入しても効かないのでは。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
効かないというのと、もう1つはドルロングしたいけれど介入が怖いから入れない人たちがいる。この人たちが152円からずっと待っている。介入の怖さがあるから逃してしまった。逆に介入が1回入って下がったら、みんな「待ってました」といって、また一斉に入る。
もう1つ、新NISAは定期的に外株買いが起きている。だから新NISAの外株に上限を設けなかったのは少し失敗だったかもしれない。

――そこに制限が確かにない。特に新NISAスタート当初は、S&P500であったり、オールカントリーが注目されてしまった。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
株を買いたい人は、どこの株をどれだけ買おうが自由。為替のために円安を回避するために外国株買うのを制限するというのは間違えていると思う。為替が円安になったという面では確かにマイナスの影響出たのかもしれないけど、でも投資家は自由だ。

エコノミスト・為替ストラテジスト エミン・ユルマズ氏:
本当はそこがポイントではなく、元々の金融政策で円安の流れを作るべきではなかった。

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