この春入社して、約1か月を過ごした新入社員に「就職先の会社でいつまで働きたい?」と質問をしたら、『定年まで働きたい』と答えたのが21%、「チャンスがあれば転職したい」が過去最高の26%となった(東京商工会議所調べ)。

 4人に1人が転職を考えながら過ごす1年目のゴールデンウイーク。早々に退職する社員の姿を、社会人の先輩はどのように見ているのか、街で聞いた。

《転職に対する街の声》

 「学生は、世の中にどんな仕事があるのかわからず就職するので、転職はアリではないか。人生は1回きり」と話す70代男性は、飲食業20年、レンタル会社20年の仕事歴。

 いっぽう66歳の男性は「今の若者は目指すものがなく忍耐力がない。給料が良くてもやめていく」と話した。この男性は「所長になるのが夢」で、この年まで建設業一本で働いてきたという。

 この男性、若い頃にみた映画「黒部の太陽」、巨大な黒部ダムの難工事に対峙した1人のリーダーが「行くぞ」と言って、周りがついていく…そういった姿に憧れて、ここまで勤め上げてきたと話した。

 いっぽう、女性2人組(薬剤師40年、事務20年)は、「転職というと昔は『職歴に傷』、いまはそんなことがなく羨ましい」と話す。当時はレベルダウン、いまはレベルアップ、転職のイメージにギャップを感じると話した。


《退職代行サービスを訪ねた》

 「4月~5月は、業界として繁忙期だ」と話す退職代行サービスの事業者がいる。実は、会社に辞めたいと言い出せない人や、なかなか辞めさせてもらえない現実に対する、「退職代行サービス」があるという。大阪の『やめたらええねん』を取材した。

 最近多いのが新入社員からの依頼だという。なんと4月1日に『即日退職でお願いします』とメッセージを送ってきたケースがあった。午前中に依頼を受けた『やめたらええねん』は、その日のうちに会社側に退職の連絡を入れた。

 「入社式で雰囲気を見て、聞いていた内容と違うとか、先輩社員に話を聞いて、業務の内容が若干違うとかのギャップがあって、これ以上続けるのは難しいなどと相談依頼をいただいている」(『やめたらええねん』を運営する内藤亮社長)

 4月19日。この日は朝から企業側に、依頼主に変わって退職の連絡をする予定だという。中途採用で4月1日に入社したが体調が悪く出勤が難しくなったということで、依頼主から聞き取った内容を整理して、会社側へ電話をかける。

(電話で話す内藤社長)「お世話になります。貴社社員の【依頼主】さまの、退職通知の件でご連絡させていただきました」

 企業の人事担当者に退職意思と希望日を伝え、社員証や保険証などの扱いを相談。15分ほどで完了した。企業側の反応はどうだったのだろう。

 「正直、ショックを受けられていました。『まさかこんなにすぐに辞めるとは』という感じでした」(内藤亮社長)


《かつてブラック いまはギャップ》

 かつて退職代行が多かったのは、残業代を払わなかったり、有給休暇を取らせなかったりする、いわゆる”ブラック企業”からの退職相談だった。しかし最近は、理想と現実のギャップに耐えられず、退職を選ぶ人も増えているといい、昨年と比べると1.8倍から2倍に依頼が増えているそうだ。

 4月1日~20日に、相談は300人以上あり、そのうち新入社員(新卒・中途とも)が約60人。実際退職したのも100人以上いて、新入社員が約40人いるということだ。

 様々な考え方のある転職。街で話を聞いた27歳の男性(メーカー勤務5年目)は、「転職活動には賛成で、自分も経験があるが、自社を客観的に見つめなおした結果、残ることにした」と話した。

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