手術・放射線・抗がん剤・免疫療法に続く「第5のがん治療」として注目されています。薬と光を使ってがんを壊死させる新しい治療が20日、県内で初めて実施されました。

【リポート・堀竜泰】
「いまからこちらの手術室で、県内初となる光免疫療法が行われます」

佐賀大学医学部附属病院で20日行われたのは県内で初めてとなる「光免疫療法・アルミノックス治療」です。
この治療は、3年前に大手医療メーカーが実用化し手術・放射線・抗がん剤・免疫療法に続く「第5のがん治療」として注目されています。

薬剤と光を使ってがんを壊死させるもので1回約500万円かかる最新医療ですが、いまのところ“頭頸部がん”で条件を満たした治療のみ日本で認可され、保険や高額療養費制度などが適用されています。

【佐賀大学医学部耳鼻咽喉科 杉山庸一郎教授】
「やはり新しい治療ということでまだまだ未知数な部分が多いんですけど既存の治療でなかなか治療ができなかった人への新しい治療として期待をしています」

治療には、佐賀大学医学部の杉山教授をはじめ耳鼻咽喉科や麻酔科の医師・看護師・医療メーカーなど約20人が参加。
光免疫療法は、治療前日に光に反応しがんにだけくっつく物質を薬で投与するところから始まります。
今回治療をする高齢男性は、のどあたりにがんができていて口から光ファイバーがついたカテーテルを入れるためのどを切開し気道を確保します。

【リポート・堀竜泰】
「強い光が使われるためゴーグルの着用が必須となります」

全員がゴーグルを着用し光免疫療法が開始。
緑の光を放つ装置を準備しカメラを見ながら慎重に口からのどに…前日投与した薬に約5分半光をあて化学反応でがんを壊死させるこの治療。
がんの大きさを再度確認し7ミリから38ミリまでの直径の光をどの大きさで何回にわけてあてるのかを判断します。
今回は5回光をあて約1時間で治療は終了。
今後、経過観察するということです。

【佐賀大学医学部耳鼻咽喉科 杉山庸一郎教授】
「どういった使い方が一番効果的なのかというのはこれから治験を重ねて整理されていくと思うんですけれども、これまでなかなか治療がむずかしくてほかに手だてがないというところで諦められていた患者さんに対して新しい治療として期待しているところです」

アメリカで行った30人の治験ではがん細胞が消えたのが4人。がん細胞が縮小したのは9人で43%の人に効果があったといいます。
この治療は放射線など通常のがん治療で治らなかった人が対象となり、今後、件数を積み重ねほかの部位への転用も検討するということです。

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