「2050」という数字から、何を連想するでしょうか。これは世界の多くの国が「カーボンニュートラル」達成の目標年として掲げる数字です。地域エネルギーの課題解決に取り組む仕事柄、この数字を頻繁に目にします。
カーボンニュートラルとは、気候変動の大きな原因となっている二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収を均衡させるという意味。つまり「これ以上CO2を増やさない」という目標です。
気候変動の影響は、海面上昇や異常気象のみならず、水産物や農作物への影響、新たな感染症リスクなど、われわれにも身近な問題を引き起こす可能性があります。
政府や県も、50年までにカーボンニュートラル社会を実現することを目標としています。とりわけ、エネルギー業界はCO2排出量の最も大きい業界であり、削減が急務です。
ある意識調査では「気候変動によって影響が及ぶ人たち」について「あなた自身」よりも「将来世代」と回答した数は3倍以上でした。30代である私自身も将来世代に含まれるとみられますが、私にとっての将来世代、つまり子どもたちの世代も意識する必要があると感じています。
50年は今から26年も先の未来で、社会像を明確に思い描くことは、専門家にも難しいのが実情です。想像できないから議論できない、と考える人もいるでしょう。しかし、分からないからこそ、さまざまな年代の人が知恵を出し合い、継続的に意見交換していく必要があるのではないでしょうか。
2050年という時期は、今の30代が定年を迎える時期にあたります。カーボンニュートラル達成の成否は、私自身のキャリアの成績表だと感じています。責任のある世代として、しっかりと実効性のある取り組みをしなければなりません。
「一粒の麦が、地に落ちて死ねば、多くの実を結ぶ」。これは聖書の言葉です。脱炭素の取り組みが次世代につながればと思い、地道に活動しています。(エネルギーラボ沖縄代表)
次回は長嶺ふじ子氏(ステラヘルスジャパン代表)です。
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