最近、街で「異常に速い」自転車、見たことありませんか?

【街の人】「道路でビューって怖いですよね。何回も怖いときありますね」

【街の人】「原付ぐらい(スピード)出てるのかなって」

街の人が恐怖体験を語るのは、原付バイクのスピードをも上回る、速すぎる“自転車”

なんとそのスピード、“自転車”なのに、40キロ超え。

取材をすると、「魔改造」というキーワードが。いま、街で広がる「恐怖の“自転車”」の正体とは。

■電動アシスト自転車の改造が問題に

【警察官】「こんにちは大阪府警です」

22日、大阪市内で自転車店を訪ねていたのは、大阪府警の警察官。

【大阪府警】「電動アシスト自転車の不正改造について、何件か事例があって把握しています。自転車販売店さまとしても、ご注意してご協力していただきたい」

【CYCLESHOP NAKAYAMA 中山行男店長】「今、ご説明聞きまして、張らせていただきました」

いま街では、危険な「改造自転車」が問題となっているのです。

10月17日には、大手メーカーのロゴを無断で使い、電動アシスト自転車の「改造部品」を販売した疑いで男らが書類送検されるという、全国で初めての事態も。

■ネット上には改造部品が出品されている状況 「爆速」・「魔改造」とは…?

自転車の「改造」はそんなに簡単にできるのか、調べてみると…。

【記者リポート】「このようにネットには、自転車用の改造部品がたくさん売られています」

ネット上に並ぶのは「爆速」。さらに「魔改造」という気になるワード。

「爆速・魔改造」とは一体どういうことなのか。自転車店で教えてもらった。

(Q.一般的な電動アシスト自転車のスピードはどのぐらい?)
【中井商会 中井勇治さん】「一応、最高時速24キロになると、全く(アシストが)作動しなくなります。そこからは自力でという形に。前輪の所に小さく付いているのが、『スピードセンサー』になり、前輪の回転でスピードを検知して、それをモーターの中に送って、モーターの中のコンピュータで制御している」

通常の電動アシスト自転車は、時速24キロを超えにくい仕組みになっているようです。

実際にこいでみると…。

【秦令欧奈アナウンサー】「こぎはじめは強くアシストを感じますが、スピードにのると、はじめよりアシストを強く感じません」

結局、全力でこいでも、そのスピードは「時速20キロ」でした。

■“かる~く”こいで時速40キロ超え 原付を追い越すスピードの自転車

しかし、国民生活センターが公開しているこちらの動画では、“かる~く”こいだ自転車が、あっという間に時速40キロをオーバー。隣で走る原付バイクを“爆速”で、あっさりと追い抜いてしまいました。

なぜ自転車がバイクに勝ってしまうのか。

【中井商会 中井勇治さん】「スピードセンサーを違うものに取り換えることによって、コンピュータが検知しない。ずっと押し出し続けるかたちになるので、スピードが上がっていく。“非常に危険な乗り物”になってしまう。ブレーキもそこまでのスピードに対応したブレーキになってないので」

■普通に走っていれば、“電動アシスト自転車” 「車より早いかも…」

スピードを抑える機器が取り付けられていないとどうなるのか?

一見、普通の自転車のように見えますが、超高速でタイヤが回転。

今ネット上で、速度をおさえるリミッターを取り払った車両が不正販売されたり、一部の業者が改造作業を請け負ったりするケースが増えているということです。

【京都府警交通部 石田伸一郎モビリティ対策室長補佐】「性能上でいうと、時速45キロ以上が出るような規格になっている。普通に走っていれば、“電動アシスト自転車”にしか見えない。職務質問も受けないであろうと」

街で話を聞いてみても…。

【街の人】「ありますね、道路でビューって。怖いですよね。車より早いかもしれませんね」

【街の人】「歩道だけは走らんといてほしい。歩道走ってきて、強引に突っ込んでくる部分もあるし」

■危険な走行 自転車のような見た目「モペット」

さらに取材を続けると、街の中には違法な走行をする車両が。こちらの車両、見た目は自転車ですが、よく見るとペダルをこがずにどんどん進んでいきます。

これは「モペット」とも呼ばれる、「フル電動自転車」。モペットは、法令上は原付バイクと同じ扱いです。

公道を走るには免許が必要で、ナンバープレートやヘルメットの着用も義務となっているはずなのですが…。

【記者リポート】「モペットが歩道を走っています。観光客の間をすり抜けていきます。ぶつかりそうです、非常に危ないです」
【記者リポート】「ヘルメットをかぶらずに2人乗りで走っています」
【記者リポート】「モペットが赤信号を無視して走っていきました」

取材班が大阪・ミナミの夜を取材すると、わずか1時間で数十台。「違法」に走るモペットのライダーたちが。

■「分からない」「知らない」 “モペット”ライダーは違法の認識ナシ

モペットに乗る男性に話を聞くと…。


【モペットに乗る男性】
(Q.どこで買った?)「そこのショップで…」
(Q.これはモペット?)「そうです」
(Q.ヘルメット着用義務は知ってる?)「分からないです」
(Q.買ったときに説明は?)「聞いてないです」
(Q.ナンバープレート必要だが?)「聞いてないですね」

違法という認識はないようです。

とても危険な場面もありました。

ことし6月、大阪市北区の商店街で、防犯カメラがとらえた映像では、幅の狭い商店街で、通行人がいる中走るモペットが…。

警察官が追いかけているようですが、かなりのスピードで走り抜けていきます。

この事態に遭遇した商店会の理事は…。
【ひがし中通り商店会 小牟礼隆之理事】「店から出て声が聞こえたので、モペットと女性警察官が2台連なって走っていった。人込みの中を危険な状態で、抜けていった。恐怖でしかなかったです。(モペットは)最近すごく多くなった。中には異常に速いのもあります」

事故が起きれば命を脅かす恐れもある危険な自転車走行。抜本的な対策が求められます。

■魔改造自転車は公道で走行不可 自転車の保険は使用できない

モペットに乗っている人が「違法性の認識がない」と言っていましたが、ルールを知っておくことが大切です。

爆速の“魔改造自転車”まさに“恐怖の自転車”です。
・購入しても、公道で走行することができません。
・もし事故を起こしたら、バイク扱いとなり、賠償金は全額負担になります。
    
安易に改造してはいけないということです。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「結構気軽にフリマサイトやインターネットショッピングで部品が買えますが、これを取り付けて行動走った時点ですでにアウトなんです」

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「賠償の話、実は自転車用の保険に入ってても、事故を起こしたら補償されません。自転車の事故での賠償命令では、1億円近い事例もあり、それが全額自己負担になる。違法改造した自転車で事故を起こした場合、全部自分で払わないといけないということになります」

番組コメンテーターで前明石市長の泉房穂さんは「社会全体が毅然と対応すべきだ」と言います。

【前明石市長 泉房穂さん】「今の話を延長すると、払わないといけないけど、払わない人も出てくると被害者が浮かばれません。そういう意味でも、社会全体で毅然と対応する必要があって、今回の取材では、ほとんど全部が法令違反ですから、電動アシスト付き自転車も時速24キロと法令で決まっていますし、ちゃんとルールが守られていない状況なので、当然、捜査機関も毅然とすべきだと思います。加えてメーカーサイドも放置せずに、改造できないような工夫もするべきだと思う。関係者一堂に会して、やるべき時期だと思います」

どう取り締まるかということもありますが、明石市では取り組みはされていましたか?

【前明石市長 泉房穂さん】「関連するテーマだと、明石の場合、例えばちょっと前ですけど、水上バイクが非常に危なかったんです。明石市としては、刑事告発を殺人未遂でした上で、条例を先に作って、懲役刑も入れました。そうすると一気になくなりました。いわゆる一罰百戒も実はいると思います。やっぱ事故が起こってからでは遅いですから」

ルールづくりも必要ですし、ルールにあった自転車で安全運転することが本当に基本であると思います。

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月22日放送)

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