9月27日、自民党の総裁選の投開票が行われましたが、その前後で株価が大きく乱高下しました。こうした動きは今後の私たちの暮らしに、どのような影響があるのでしょうか?
経済評論家の加谷珪一氏、ニッセイ研究所 研究員の井出真吾氏に聞きました。
(ひるおび 2024年10月4日放送より)
総裁選以降、株価が乱高下
9月27日金曜日、自民党総裁選当日。1回目の投票結果、高市早苗氏が1位で決選投票に進むことが決まった瞬間、株価が跳ね上がり前日比約900円上昇。いわゆる“高市トレード”が進みました。
その後、決選投開票で石破茂氏が逆転し自民党新総裁に。すると、週明け9月30日月曜日、市場が開くと株価は“石破ショック”で一時約2000円も下落しました。
恵俊彰:
高市さんが勝つと株価が上がって、石破さんが勝つと株価が下がるのはなぜ?
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
“高市ショック“
1回目の投票結果で投資家は高市氏優勢とみて、アベノミクス再来を期待し株価は急上昇すしました。
“石破ショック”
決選投票で石破氏が勝ち、投資家は今後も日銀の利上げが続くことを警戒し、株価は急降下しました。
恵俊彰:
高市氏か石破氏、どちらのほうが経済にいいのですか?
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
目先だけを見るなら高市さんの方がいいでしょうが、いつまでも低金利でゾンビ企業を延命させるのがいいかどうかって言ったら、長い目で見ると金利のある世界の方が正常です。
両者の経済政策の違いは?
高市早苗氏は低金利を維持するアベノミクスの踏襲を、石破茂氏は金融正常化に舵を切る岸田路線の踏襲を明言しています。
低金利だと円に対する魅力が失われ、円を売る動きが強まり円安になります。
円安になると輸入品が高騰し物価高になり、生活が苦しくなることが考えられます。
金融正常化に舵を切ると、円に対する魅力が上がり、円を買う投資家が増え円高になります。円高になると輸入品が安くなり、生活はしやすくなると考えられます。
恵俊彰:
石破さんは「岸田前総理の経済政策、金融正常化を踏襲する」と言ってたのに、直近で「利上げ環境にない」と言った。「昨日と言ってることが違う」ということになりませんか?
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
石破さんは”言葉足らず”だと思っていて、たぶん石破さんが考えてらっしゃるのは「今すぐにどんどん利上げする環境にはないけれども、中長期的に見て正しい姿っていうのは少しずつ金利を上げていけるように、賃上げとか経済の活性化を進めていくことが大事」ということだと思います。
経済評論家 加谷珪一氏:
良くも悪くも「石破さんは言うべきことをストレートに言う人」と皆さん知っている。(だから)今までの首相と同じ言い方をしても「金利を上げるんだ」って強く主張したように受け止められてしまう。そのため市場も過剰反応することがあります。急に金利を上げたらいろいろ影響はありますが、じっくり混乱が起きない範囲で金利を上げていくという、そういう意味では今までの方向性と大差はありません。
石破総理発言で株価乱高下
日経平均株価は10月1日に入った瞬間、一時800円近く上がりました。
直前に何があったかというと、石破総理による「10月27日に解散総選挙を行いたいと考えております」という発言です。その発言に対し、市場が反応したと見られています。
選挙は買い?
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
選挙は買いといわれている。過去17回解散総選挙で行われた衆院選で日本株は上がっている。
恵俊彰:
世の中が変わるタイミングっていうことですか?
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
実際に世の中が変わるかどうかよりも「変わるかもしれない」っていう期待感ですよね。
解散総選挙になると与野党ともに大型の経済政策などを言うじゃないですか。
それがまず日本人にはすごく響きますし、海外の投資家も「日本が変わるかもしれない」と期待して、日本株を買いに来る場面があるんですよ。
発言にブレ? 石破総理「利上げする環境にない」
元々は日銀の姿勢を容認すると見れていたが、この発言を受け3日の日経平均株価は大幅に反発、上げ幅は一時1000円を超えました。
経済評論家 加谷珪一氏:
急ピッチで正常化を進めるというイメージが付かないよう、軌道修正した形。
ニッセイ研究所 研究員 井出真吾氏:
徐々に石破総理とマーケットの呼吸が合ってくるはずです。
(ひるおび 2024年10月4日放送より)
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