静岡県の鈴木康友 知事は10月5日、リニア新幹線の山梨工区を初めて視察しました。
山梨県の長崎知事とともに静岡工区と隣接する南アルプストンネルの工事現場を視察した鈴木知事は視察後、「今のところ県民にも安心してもらえる状況」と評価しています。
県境付近のボーリング調査現場
山梨県早川町。リニア新幹線の山梨工区で静岡県や長野県にまたがる南アルプストンネルが始まる場所です。
記者を乗せたバスが到着したのは「斜坑」と呼ばれる列車が走る本線を掘り進むための補助的なトンネル。
バスでなだらかな上り坂をどんどん進んでいきます。
この「斜坑」は開通後には、万が一の際の乗客の非常口となります。
池谷庸介 記者:
バスを降りて、これから現地へと向かいます
トンネルに入ってから約25分。たどり着いたのは静岡との県境にあたる場所です。
ここはリニアの本線と平行に走るトンネルで開通後はメンテナンスなどで使用します。
目と鼻の先が静岡というこの場所で行われているのが地質などを調べるボーリング調査です。
池谷庸介 記者:
こちらが山梨工区の掘削現場になります、ご覧のようにトンネルがあるのですがそのすぐ脇にあるのがボーリング調査の先進坑になり掘削で出た湧水がご覧のように流れています
この調査を巡っては過去には紆余曲折の経緯を辿りました。
静岡県・川勝平太 前知事(2023年2月28日)
何を急がれているのかという感じがします。工事に着手するべきではないと即やめるべき
2023年、川勝前知事が「静岡の地下水が山梨側に流れ出る」として中止を強く求めたのが県境付近でのこのボーリング調査でした。
鈴木知事が初めて現場を視察
しかし、その後、県の専門部会が調査は妥当との見解を示し5月に就任した鈴木知事は6月に山梨側での調査を、9月には静岡県内での調査を容認しました。
池谷庸介 記者:
いま鈴木知事が視察現場に来ました
調査を容認した知事による初めての現場の視察。
調査による静岡県の水への影響はないのか?
JR東海の職員も丁寧に説明します。
JR東海の担当者:
管から出てるのがボーリングから出ている水の総量ということになる。それでは計測の方をお願いします
鈴木知事と山梨の長崎知事の目の前で空のバケツ1杯が何秒間で一杯になるのかを計測していきます。
JR東海の担当者:
毎分36.8リットルでございます。毎秒に換算しますと0.00061立方メートルになります
ボーリングによる湧き水の量は、現状では中断する基準となる量のわずか0.08%にとどまっていました。
また、水質や水温などの確認も行います。
ほかにも掘り進めた場所の土砂を確認し、どういう地層なのかなど判断する方法について説明を受けます。
JR東海の担当者
これは150mくらいのところで、見てもらうと小さな石も大きな石も混ざっている。そうすると崩れてるところを掘るとこういうものが出てくることがわかっている
視察後はJRの対策を評価
約20分間の説明を受けた鈴木知事はJRの対策について理解と評価を示しました。
鈴木康友 知事:
今のところ順調に湧水量も少ないですし、調査もしっかり管理されているということが確認できた。今のところ県民にも安心もらえる状況かと思う
-今後ボーリング調査が静岡に向けて進んでいくがどういうことが起きたら中断や工事の差し止めと判断する?これだけは譲れないレッドラインは?
鈴木康友 知事:
今の時点でなかなか申し上げにくい。安全に工事が実施されるということを確認をしながら進めていきたい
JRの対策について評価した鈴木知事。
JRによる県内でのボーリング調査の実施を認めていますが、視察を踏まえ慎重に進めると話していました。
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