コロナ禍以降、問題となってる京都のオーバーツーリズム。
観光シーズンを前に、いま京都はどうなっているのか、調査してみました。
■まもなく観光シーズン 京都の現状は
まもなく秋の観光シーズン迎える京都。
人気の観光地清水寺周辺へ行ってみると…。
【記者リポート】「秋の紅葉シーズン前ですが、きょうも京都には多くの観光客が訪れています」
その多くが外国人観光客。
(Q.ユーは何しに京都へ?)
【アメリカからの観光客】「伝統とモダンが交わっているところが好き」
【中国からの観光客】「清水寺からの景色がきれいでした」
(Q.着物はいかがですか?)
【ドイツからの観光客】「日本のプリンセスになった気分」
【ドイツからの観光客】「侍になった気分だよ」
■「例年に比べだいぶ増えてる」外国人観光客
京都市によると去年、10月から11月の2カ月の間に京都市を訪れた観光客の数は900万人以上。
紅葉シーズンを迎えた嵐山の渡月橋では、警察が人の流れを整理する事態になりました。
【警察官】「車が通ります。歩行者の方、端に寄ってください」
多くの観光客で道が埋め尽くされ、車道に人があふれるような危険な状態も。
観光客が増えすぎることで起きる、いわゆる「オーバーツーリズム」が問題となっていました。
ことしはどうなっているのでしょうか、10月1日、嵐山を取材すると…。
紅葉シーズンの時期に比べると少ないものの、多くの外国人観光客が。
中には寺の入り口に座りこむ姿も…。
【店の人】「例年に比べると、だいぶ増えていますね。30分から1時間に1回はゴミ拾いをして、対策はしてますけど間に合わない」
【店の人】「今はほとんど外国の方ですね、90%以上は」
そして、渡月橋では…。
【記者リポート】「女性3人組なんですが、スーツケースを引きながら観光しているようです」
荷物を持ったまま観光し、人の間をすり抜けていきます。
■京都市民の生活に欠かせないバス 通路をふさぐ大きなスーツケース 問題は解消したのか?
さらに…きょうも大行列となっていたのは、京都駅前のバス乗り場。
大きなスーツケースを手にバスに乗り込む外国人観光客が続々と。多くの人を悩ます、“ある問題”も起きているようです。
【京都市民】「1人でスーツケース2個とか、当たり前。土日祝日になると、日本人の観光客がさらに加わる。かなり混乱した状況」
これは、ことし7月、Xに投稿された画像です。
京都駅に向かうバスの車内を撮影したもので、外国人観光客がいくつもスーツケースを持ち込み、通路をふさいでいます。
【画像を投稿した京都市民】「スーツケースを1人で2つ抱えて、2段に通路に重ねている状況。バス後部の通路は狭いので、乗客に迷惑になる状況になっていた。車内で荷物もたくさんあって(乗れない)という状況は何度も遭遇しています。半ば諦めというのもありますけどね」
市民の生活に欠かせないバスにも深刻な影響が出ていた問題は解消されたのでしょうか。
京都駅のバス乗り場を取材すると…、
【記者リポート】「大きなスーツケースを重たそうに持ち上げながら、バスに乗り込む人もいます」
きょうも大型のスーツケースを持った観光客が、次々とバスに乗り込んでいました。
■手ぶら観光バスの実証事業“ハンズフリーバス”
【ドイツからの観光客】「スーツケースを持ってホテルに行きたいので、ロッカーに入れなければならないとなると、不便ですね」
【台湾からの観光客】「日本のタクシーは高いので、観光客としてはバスを使いたいです。京都市は観光客用のバスを出してはどうですか?スーツケースを下に入れられるようなバスがあれば、観光もしやすくなります」
こうした状況を受け、京都市や観光協会が1日から始めたのが、「HANDS FREE BUS」、つまり手ぶら観光バスの実証事業です。
スーツケースなど大きな荷物をバスのトランクに預け、京都駅や市内中心部のホテルなどを巡回するバスで、料金は大人500円と市バスよりは高いものの、タクシーよりは安くなっています。
【京都市産業観光局観光MICE推進室 藤木祐介さん】「京都市では“手ぶら観光”の推進に取り組んでいる。市バスは大型手荷物の持ち込みご遠慮いただくというところがありますので、そういったところをクリアしたバス、ぜひご利用いただきたい」
しかし…、
【記者リポート】「午後1時45分です、京都駅での利用客はいませんでしたが、ハンズフリーバスが駅を出発しました」
【記者リポート】「午後2時45分です、京都駅での利用客はいませんでしたが、ハンズフリーバスが京都駅を出発しました」
利用者は、2日あわせて8人。
広報活動に力を入れていますが、情報が行き届いていないようで…。
さらに、運行は1時間おきに1日8本だけ。
深刻な運転手不足で「非常事態宣言」も出している京都市は、民間に事業を委託していますが、それでも運転手が足りず、運行本数に限りがあるのです。
そんな苦しい中でも、なんとか混雑を緩和しようと始まった施策ですが、解決の一手となるのでしょうか?
【京都市産業観光局観光MICE推進室 藤木祐介さん】「京都観光というのは、京都市にとっては欠かすことができないもの。持続可能にしていくためには、市民生活と両立させるということが不可欠。観光課題の対策に特効薬ない。できることはすべてやる。効果が出てきたものを続けていく、そういうふうに進めていきたい」
■「思い切った政策やったらいい」と泉氏
京都市も対策を講じてはいますが、なかなか難しいようです。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「京都市も例えば観光特急バスを設けてみたりとか、民間もタクシーを乗り合いできるようなシステムがあったりするのですけれども、アンケートをとってみると、地元の方が観光客の増加によって非常に迷惑に感じたと答える方は8割以上です。だからまだ全然、解消されていないということが、浮き彫りになっている状態です」
全国的にオーバーツーリズムが問題になっていることについて、番組コメンテーターの前明石市長の泉房穂さんは、行政の対応について「思い切った対策をして、地元住民の負担軽減を」と話します。
【前明石市長 泉房穂さん】「全世界的に問題になってます。わたしはもう思い切った政策やったらいいと思うんですよ。例えばブータンでは、入国する外国人観光客から1日200ドルをとっていったんです。最近100ドルに落としましたけど。ちょっと前までは1日ごとに3万円近くの税金を取ってて、そのお金でオーバーツーリズム対策すると。今の場合は、外国人観光客の対策を地元の方々の税金でやっている状況だから、そうではなくて、もっと思い切って外国人観光客に負担を頂いたらよいとわたしは思います」
二重価格については、差別につながるのではないかという議論もありますが…。
【前明石市長 泉房穂さん】「ほかの国は工夫してやってますから。日本も数年前に一応観光税を導入したんですけど、1人について1回1000円だけですから。それでは全然足らないと思いますね」
何よりも地元の方々にしわ寄せが行ってしまっているという現状を変えていかなくてはいけませんね
(関西テレビ「newsランナー」2024年10月2日放送)
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