(ブルームバーグ):国内大手銀行・証券5社の経営トップは、石破茂新政権が前政権の「資産運用立国」政策を継承し、日本の経済成長をさらに促すような具体策を示すことに期待感を示した。

2日に都内で開かれた「金融ニッポン」トップ・シンポジウム(日本経済新聞社主催)のパネルディスカッションで各首脳が述べた。日本銀行の金融政策については、足元の経済状況を見極めながら利上げを継続するとみている。年末の日経平均株価は4万円-4万2000円、円相場は1ドル=140-145円と予想した。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長は、新たな少額投資非課税制度(NISA)などで、貯蓄から投資への流れは出てきており、海外から日本への関心は高まっていると指摘。新政権には「流れを引き継ぎ一段と力を入れてほしい」と述べた。エネルギー政策などで「大きな国家感」を示してほしいと訴えた。

三井住友フィナンシャルグループの中島達社長は、石破政権に期待する重要ポイントとしてリスクマネーの供給、規制改革の推進、労働市場の改革の3点を挙げた。日銀の金融政策に関連し、「石破氏は基本的に金利の正常化にサポーティブ」であるとの見方を示し、「日銀は利上げを進めることができるのではないか」話した。

みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長は、日銀による利上げの前提は「前政権が掲げた成長と分配の好循環」の継続だと指摘。その上で、賃金は上昇しているものの、「全体の実質の可処分所得がまだ完全に上向きになっていない。注意が必要だ」などと述べた。重要政策としては地方創生、スタートアップの育成などを挙げた。

日銀は3月に17年ぶりに利上げに踏み切り、7月には政策金利を0.25%に引き上げた。企業のガバナンス改革や収益拡大を背景に、金融市場では国債を含む債券や株式取引が活発化。同月には日経平均株価が史上最高値を更新した。ただ、日経平均は石破氏の首相就任前より低い水準にある。

野村ホールディングスの奥田健太郎社長は、産業成長の観点から「エネルギー政策の方向性がポイント」としたほか、少子化など人口動態、リスキリングなどの課題に対して明確な方針を示すことが「日本経済の成長にとって重要だ」と述べた。米大統領選後の政権移行などが市場のリスク要因になるとも指摘した。

大和証券グループ本社の荻野明彦社長も前政権の経済政策を評価した上で、石破氏が先に言及した金融所得課税の強化方針について、現時点では「むしろ貯蓄から投資を加速するとしているので、懸念は払しょくされた」とし、今後も株価動向は強気に見ているとした。

--取材協力:佐野七緒.

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