(ブルームバーグ):シンガポールに本社を置くゲーム開発支援大手のヴァーチャスは、日本のゲームスタジオを買収する計画を明らかにした。現時点で日本事業の売上高は全体の約10%にとどまるが、伸びしろがあるとみて日本でのプレゼンス拡大を狙う。
ジル・ランゴリ最高経営責任者(CEO)は26日のインタビューで、買収先の条件として、最新技術を扱うことができ、100人以下の規模であることなどを挙げた。今週だけでも2社のスタジオを訪問したといい、検討は順調に進んでおり「6カ月以内に契約が成立しても驚かない」という。
2004年創業の同社は、人気ゲームの「ファイナルファンタジー」シリーズや「メタルギアソリッド」のリメイク版など、これまで1500本以上のゲーム開発に携わってきた。2億ドル(約290億円)の年間売上高を4-5年後には3倍にする計画で、目標達成には、世界第3位の規模を持つ日本市場での事業拡大が欠かせないと見る。
ヴァーチャスは事業拡大に向けて、毎年数百人単位で従業員を増やしてきた。世界23カ所のオフィスに約3800人の従業員を抱えるが、さらに多くの人材を獲得する考えだ。こうした動きは新型コロナウイルス禍の収束で娯楽が多様化し、販売が伸び悩む中で人員削減に乗り出す他のゲーム会社とは対照的だ。
M&Aで成長
ヴァーチャスはこれまで、複数の合併・買収(M&A)を通じて成長してきた。22年にベトナムで400人規模のアートスタジオを買収。24年には米ロサンゼルスの視覚効果(VFX)スタジオを買収し、売上高はこの5年で4倍になった。さらなるM&Aに向けてランゴリ氏は、2年以内に資金調達を行う計画で、将来的には新規株式公開(IPO)の可能性もあると明かした。
「ゲーム業界は変革の時期にあり多くの企業が追い出されているが、正しい選択をすれば成長は可能である」とランゴリ氏は話す。ゲームの開発段階によって必要な人員の数は変わるため、投入する人材の数に柔軟性を持たせれば大規模なコスト削減が可能であると指摘する。
ランゴリ氏は日本のゲーム業界について、大ヒット作品を生み出した経験豊富な開発者を多く抱えるなど強みはあるものの、オンラインへの進出と最新技術の活用で遅れていると見る。
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