(ブルームバーグ):25日の日本市場では円相場が1ドル=143円台半ばに下落。中国が広範な景気刺激策を発表して景気不安が後退し、投資家はややリスク選好に傾いた。債券は超長期債が上昇、株式は小幅安。

中国人民銀行(中央銀行)は24日、経済成長目標の達成に向けて主要短期金利などの引き下げや中国株式市場の流動性支援といった景気刺激策を発表した。同日の香港ハンセン指数と上海総合指数は4%以上値上がりし、25日も続伸している。

27日には自民党総裁選の投開票が行われる。SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「日本銀行の利上げをけん制する高市早苗経済安全保障担当相が勝利する可能性が出てきており、利上げが難しくなるとの見方から円安方向にバイアスがかかる可能性がある」と指摘。投開票まで積極的にポジションを取りづらいと述べた。

外国為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=143円台半ばで推移。海外時間のドル安の流れから142円台に上昇する場面もあったが、中国の景気浮揚策を受けた株高がアジア市場で続いており、リスクオンの円売りが優勢になった。

スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は、「月末を前にした五・十日(ごとおび)で円売りが出やすいほか、中国の景気対策を受けた投資家心理の改善に伴う売りも重し」と話す。もっとも、円の下落局面では月末を前にした輸出企業の買い意欲もあるとし、自民党総裁選を控えて方向感は強くないと言う。

 

債券

債券相場は超長期債が上昇。日銀が実施した定例国債買い入れオペで需給の良さが示されたことを受け、買いが優勢になった。中長期債も日銀の追加利上げが遠のいたとの見方から買われる場面があったが、高値警戒感から上値は重かった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「オペでは特に残存期間10年超25年以下の結果が良く、超長期債の需給が引き締まっていることが示された」と指摘。26日に行われる40年国債入札は自民党総裁選直前でタイミングとしては難しいものの、「まだ割安感があるため、何とか無難に消化されるのではないか」とみていた。

新発国債利回り(午後3時時点)

 

株式

東京株式相場は小幅安。日銀の早期追加利上げ観測の後退で金利低下が見込まれる中、銀行や保険といった金融株の下げが目立った。

TOPIXの下落に最も寄与したのは三菱UFJフィナンシャル・グループ。指数を構成する2129銘柄中、値上がりは1053、値下がりは960だった。保険と銀行が業種別指数の下落率1、2位を占め、建設や情報・通信といった内需関連の一角も安い。

半面、景気刺激策による中国事業の回復期待からダイキン工業などの中国関連株が上昇。米エヌビディア株高を受けてアドバンテストなど半導体関連株も高い。

岡三証券の内山大輔シニアストラテジストは、米国経済の見通しは依然として不透明だと指摘した上で、自民党総裁選を控え、週末にかけて様子見ムードが優勢になるとみている。

 

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。