(ブルームバーグ):20日の外国為替市場の円相場は対ドルで1%余り下落した。日本銀行の植田和男総裁が金融政策決定会合後の会見で、追加利上げに対して慎重な姿勢を示したと受け止められ、円売りが強まっている。

円は対ドルで一時前日比1.2%安の144円40銭に下落。日中高値の141円74銭から大きく反落し、今月6日以来の144円台を付けた。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が追加利下げを急がない姿勢を示したことも、ドル安修正圧力を通じて円の重しとなっている。

公に話す権限がないとして匿名を要請した複数のトレーダーらによると、市場は日銀がよりタカ派的なフォワードガイダンスを打ち出すと見込んでいた。スポット市場の動きは143円、143円50銭をそれぞれ上回る水準でストップロスが発動された結果だという。

オプション市場では、ヘッジファンドは円に強気のエクスポージャーを巻き戻すだけではなく、年内に148-150円に動くことをターゲットとした相場の反転を見込むとみられるようなポジションを組んでいる。

植田総裁は20日、政策金利の据え置きを決めた金融政策決定会合後の会見で、経済・物価の見通しが実現すれば利上げを継続する姿勢を示した一方、円安の修正で輸入物価の上振れリスクが和らぎ、政策判断に時間的余裕ができたと発言。米国経済の不透明感も指摘し、市場は追加利上げに慎重との受け止めから円売り、債券先物買いで反応した。

一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は18日、0.5%の大幅利下げに踏み切った上で、パウエルFRB議長は緩和を急がない姿勢を示した。ボードメンバーが示した金利予測分布図(ドットプロット)では、年末までの利下げ幅は0.5ポイントと予想されている。

(相場を更新し、第3-4段落に市場の情報を追加します)

--取材協力:鈴木克依.

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