(ブルームバーグ):18日の日本市場では円が上昇。米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測が根強く、ドル売りが優勢だった。債券は小幅高、株式は反発した。

17日に始まった9月のFOMCは18日に政策金利を発表する。4年半ぶりの利下げが見込まれており、焦点は利下げ幅が通常の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)なのか、50bpなのかとなっている。

大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、米連邦準備制度理事会(FRB)は保険の意味で50bpの可能性もあるとのメッセージを市場に出したのだろうと述べ、それが市場のメインシナリオになってしまっていると指摘。「25bpにとどまると失望が非常に大きいため、米金融当局もその方向で動かざるを得なくなっているのではないか」との見方を示した。

9月の米利下げ、市場の予想は50bpに傾く-小売売上高発表後も

為替

東京外国為替市場の円相場は上昇。FOMCでの大幅利下げ観測が強く、結果発表を前に円買い・ドル売りが優勢になった。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけて実需の円買いも指摘された。

米金利スワップ市場では、FOMCで50bpの利下げが決まる確率が5割以上を維持している。FOMCでは次回以降の政策金利見通しを示す金利予測分布図(ドットプロット)にも注目が集まっている。

金利予測分布図とFRB議長会見に市場は注目、利下げ織り込み済み

大和証の石月氏は、ドットプロットはメンバーの間でばらつきが生じそうで、中央値も予想がつかないと述べた。利下げ幅が50bpでも25bpでも市場は相応に反応するだろうが、「今回のFOMCは見るべき点が多く一筋縄にはいかない」とみている。

 

債券

債券相場は小幅高。FOMCという大きなイベントを控えてポジションを大きく傾けにくい中、日本銀行による国債買い入れオペで需給が引き締まるとの見方から買いが優勢だった。

ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は「FOMCで50bp利下げの可能性があり、じわじわと買いが入っている。オペも特段問題なく消化した」と話した。「米金利は利下げ幅が50bpか、25bpかで変わってくる一方、日本の金利はどちらでも上がりにくい」と言う。

日銀は午前の金融調節で、定例の国債買い入れオペを通知した。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下。買い入れ額はいずれも前回オペから据え置いた。オペ結果によると、5年超10年以下、10年超25年以下の応札倍率が前回オペから低下し、需給の改善を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

 

株式

東京株式相場は反発。円安の恩恵を受ける自動車や機械など輸出関連株、米10年国債の利回り上昇を背景に銀行や保険といった金融株が買われた。一方、FOMCを前に円相場のボラティリティーが高まる可能性が意識され、午後には一時下落に転じる場面があった。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は、1ドル=139円台まで進んだ円高が一服しており、円高を嫌気して売られてきた自動車などが買われやすかったと述べた。ただ、FOMCと日銀の金融政策決定会合を前に投資家の様子見姿勢は強いとも指摘した。

ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは、投資家は米金融政策決定後に円相場が変動するリスクを警戒していると話していた。

 
--取材協力:岩井春翔.

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