日本の生産年齢人口が減り続ける中、期待が高まるのが外国人の人材です。特にインドネシアは日本で働きたいという若者も多く、宮城県は9月、インドネシアで現地の若者に県内の企業を紹介するイベントを行いました。17日は急速な経済発展を続けるインドネシアの今、そして1200人が集まった現地のイベントを中心に高まる日本への就職熱をお伝えします。
東西に5100キロ、1万7千以上の島々からなる「インドネシア共和国」。
記者リポート
「世界第四位の人口2億7800万人を抱えるインドネシア、ジャカルタの中心部には高層ビルも立ち並び、近年、急速な経済発展を遂げています。2030年代には日本のGDPを抜き世界で4番目の経済大国になるとも予測されています」
日本の2倍以上の人口を抱えるインドネシア。年代別に人口を日本と比べてみると10代は日本の4倍を超える約4800万人など若い世代が圧倒的に多く、労働力が豊富です。急速に開発が進む一方で、街には昔ながらの屋台も数多くあります。こちらはインドネシアの代表的な朝食「ブブール・アヤム」。インドネシア語でブブールはおかゆ、アヤムは鶏肉を表し、おかゆの上に鶏肉や大量の揚げたせんべいや玉ねぎなどが乗りボリュームたっぷり。日本円で110円ほどです。
また、日本とのつながりも深く…
記者リポート
「あちらに見えるのが日本政府の支援を受けて開発が進むパティンバン港です。東京ドーム4個以上の広大な敷地が広がりインドネシアの自動車産業の拠点となっています」
日本から約1900億円の円借款を受けて3年前から稼働しているパティンバン港。インドネシア国内の年間の自動車輸出入量の4分の1にあたる約23万台の自動車を取り扱い、現在も日本企業によって埋め立て工事を伴う拡張工事が進められています。また、ジャカルタでは5年前日本の支援を受けて、地下鉄の路線が開業しました。こちらは日系企業のインドネシア進出を20年以上支援してきたコンサルティング会社。
アニサさん
「嵐とか、俳優だと小栗旬が中高から好きでした」
日本のアイドルやドラマ好きが高じて日系企業への就職を目指したというアニサさん。
日本に親しみを持つ人が多く、そこから待遇が良い現地の日系企業への就職を希望する人も多いといいます。
フジスタッフ インドネシア 加來文子取締役
「クールジャパンの影響もありまして、10年15年くらい前ですかね、日本のサブカルが発展していまして、依然として日本人気は減ってはいないと思います」
こうした中、今月6日、ジャカルタで開かれたイベントが…
宮城県 村井嘉浩知事
「宮城県は皆さんを家族として迎え入れたいと思います。必ず大切に致します。ぜひとも宮城県に来てください」
現地の若者に県内の企業を紹介し、雇用につなげようと宮城県が企画したイベントです。国内の自治体として初めてという就職イベントには、予想を大きく上回る人数の若者が集まり、大変な熱気となりました。
記者リポート
「会場にはインドネシア全土から1200人以上が集まっています。どの企業ブースも満席で皆さん真剣な表情で説明に耳を傾けています」
去年7月、県がインドネシア政府と人材受け入れ促進に向けて覚書を交わしたことを受けて開催されたもので、県内から参加した企業は介護や製造業を中心に46社。インドネシアの最低賃金は最大都市・ジャカルタで月額5万円ほど。「給料が高く、幼いころから親しみのある日本で働きたい」と多くの若者が口を揃えます。
参加したインドネシアの若者たちは
「日本は安全で保険なども手厚い、もちろん給料もインドネシアより高いので」
「日本は先進国で仕事環境が整っている。日本で働くことで自分の人生をより良いものにしたい」
「インドネシアにはない、日本の知識や技術を学んで持ち帰って生かしたい」
「(日本で稼いで)インドネシアで下宿を建てたいです」
インドネシアと対照的に人口減少が続く日本。県内でも15歳から64歳の生産年齢人口はこの先30年で約44万人減少する見込みです。
宮城県インドネシア協会(東洋ワークグループ会長)須佐尚康会長
「自分のためにそしてインドネシアのために自分は何か技術を身に付けよう、日本で役に立ってこの人口減少の中を私たちが日本のためにやってみようという方が多いですよ」
年々増す働き手の確保の難しさに直面する企業にとって、若く元気でやる気のあるインドネシアの若者はまさに魅力的な存在となっています。
菅原工業 菅原渉社長
「やっぱりみんな、やる気すごいですよね。働きたいっていう気持ちがすごくありますね」
気仙沼市で建設業を営む菅原渉さん。現在も5人のインドネシア人を雇用していますが、今回は予想以上のエントリーがあったといいます。
菅原工業 菅原渉社長
「大体60人から70人くらいはエントリーしてきてくれたので、そもそも建設業ってあまり人が少ないし、新卒も取るのに苦労する中で70人も一気に来るのはちょっと想像超えてましたね」
ReWiLL 原田佳和社長
「だしを聞いたことあって知っているよという方、いらっしゃれば手をあげてみてください」
こちらは「だし廊」の名前で仙台市内に6店舗のラーメン店を展開する原田佳和さん。人手の確保に加えて将来的な海外進出も見据え参加を決めたといいます。会場ではサバだしの試食を勧め、反応は上々のようです。
ReWiLL 原田佳和社長
「国内だとラーメン事業を展開していくのは人口も減っていきますし、競合他社も多いので。海外展開は考えていましたので、その大きな選択肢としてインドネシアはありかなと。若い方が人口の中でメインなので胃袋も元気な国かなと思います」
村井知事
「東北の人手不足、若い人の人口減少を少しでも支えられるように、宮城県が音頭をとってやっていきたい」
豊富な労働人口と日本への高い就職熱。今回得た手応えをいかに就労につなげるか。次の一手が求められます。
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