環境に優しい魚の養殖場を求めてたどり着いたのは、日本一の山、富士山の麓でした。

鮮やかなオレンジ色のお刺し身は、寿司ネタとしても人気のサーモンです。
このサーモンが取れた場所は富士山の麓、静岡・小山町に作られた日本最大級の陸上養殖場です。

ノルウェーの企業「プロキシマーシーフード」と丸紅グループがタッグを組み、2024年秋、いよいよ陸上養殖アトランティックサーモンの出荷が始まります。

プロキシマーシーフード・神尾茂治さんは「日本の海では夏場に海水温が上昇するので、サーモンの養殖は難しい。陸上養殖であれば、環境をコントロールすることで、年間を通じ安定的に魚をつくることができる」と陸上養殖の意義を語りました。

世界的に需要が高まるサーモンを、環境負荷を抑えながら、安定的に生産するために作られた陸上養殖場。

まずは、人工種苗を2週間かけてふ化させ、稚魚を育てます。

魚を育てる水は富士山の地下水を利用した人工海水で、ほぼ100%が再利用可能。
魚のふんや食べ残しのエサを取り除き、バクテリアの力を使い、有害なアンモニアなどを分解してきれいにした後、再び水槽に戻しています。

ろ過には高低差を利用し、ポンプは最小限にするなど、極力電気を使わない作りになっています。

魚を育てる水槽の大きさは深さ5メートル、直径18メートルで、実に2万匹から3万匹を育てることが可能です。
人と比べてみると、その大きさがよく分かります。

養殖システムは24時間リモートで監視し、水温や酸素濃度をモニタリング。
万が一水槽に何か起きた場合は、すぐにチェックして異常を確認しに行きます。

水質検査も常時行っており、水槽ごとに何のエサを食べたかなどもデータ化されています。

このような徹底した管理の下、サーモンは約2年かけて出荷されるサイズに成長します。

この秋の出荷を前に、取材班も取れ立てのサーモンを試食させてもらったところ、普段食べているサーモンよりもプリっとした弾力があり、脂がじんわり染みて食べやすいということです。

いよいよ出荷が始まれば、首都圏には水揚げ後、最短2時間で生アトランティックサーモンの配送が可能になるといいます。

現在日本では、多くがノルウェーやチリから空輸されていますが、輸入される場合と比べ、CO2排出量は年間5万7000トン削減できる見込みです。

プロキシマーシーフード・神尾茂治さん「すぐに客に届けられるので、販売期間も延ばすことができるし、フードロス削減にも貢献できる。サステナブルなビジネスモデルを作って、安心安全なサーモンを届けていきたい」と語りました。

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