(ブルームバーグ):8月の米消費者物価指数(CPI)統計では、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが市場予想に反して加速。住居費の伸び率が高まったことなどが響いた。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅な利下げが実施される可能性が低下した。
ブルームバーグの算出によると、コア指数は過去3カ月の年率では2.1%上昇。7月の1.6%上昇から伸びが加速した。
コアCPIの前月比の伸びは4カ月ぶりの大きさ。総合CPIの前年同月比は5カ月連続で鈍化した。ガソリン価格低下が影響した。
発表元の労働統計局は、住居費が指数全般の上昇の「主因」だったと説明した。
この日のCPIを受けて来週の大幅利下げの可能性は低くなったが、金融当局は労働市場の軟化を注視していることを明確にしてきている。今後数カ月の金融政策に関する議論や判断により影響を及ぼすのは、労働市場の動向である公算が大きい。11月と12月のFOMC会合に向けては、考慮すべきデータも増えることになる。
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労働統計局は数値を小数第1位までで表示するが、インフレ軌道をより正確に把握したい米金融当局者やエコノミストは、さらなる詳細に注目する。小数第2位まで見ると、コアCPIの前月比上昇率は0.28%だった。
住居費
サービス分野で最大部分を占める住居費は前月比0.5%上昇と、1月以来の大幅な伸び。2カ月連続で加速した。持ち家のある人がその家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)も同じ伸び率となった。
住居費以外では航空運賃や衣料品、未就学児保育サービスなどが全体の伸びをけん引。自動車保険とホテル宿泊費も引き続き上昇した。
ブルームバーグの算出によると、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は0.3%上昇し、4月以来の大幅上昇となった。
食品とエネルギー商品を除く財のコア価格は0.2%低下と、引き続き低下傾向。過去15カ月で14回のマイナスを記録した。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「運賃が上昇しているにもかかわらず、コア財価格の低下が続いていることは、企業が投入価格の上昇分を消費者に転嫁するのが困難であることを示唆する。企業は今後、利幅がさらに圧縮され、コスト削減のためレイオフに踏み切る可能性がある」と分析した。
米金融当局は賃金の伸びにも注目している。別の統計によれば、8月の実質平均時給は前年同月比で1.3%上昇と、この1年余りで最大の伸びとなった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Core US Inflation Picks Up, Damping Odds of Outsize Fed Cut(抜粋)
(第9段落以降に統計の詳細やエコノミストの見方などを追加して更新します)
--取材協力:Chris Middleton、Matthew Boesler、Cecile Daurat.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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