(ブルームバーグ):米銀大手モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、S&P500種株価指数を今年過去最高値に押し上げた人工知能(AI)ブームが失速しており、株式相場が上昇基調を取り戻すには新たなカタリスト(きっかけ)が必要だと述べた。

米国株式チーフストラテジストのウィルソン氏は11日、AIが長期的に生産性を革新的に変える可能性は大いにあるものの、短期的な可能性に賭けて株価をつり上げてきた動きは時期尚早だったと、ブルームバーグ・テレビジョンで話した。最近乱高下している代表銘柄のエヌビディアに限らず、半導体銘柄の低迷にそれは表れ始めているという。フィラデルフィア半導体株指数は今月、8.5%下げている。

米国株リスクオンの勢い失速、高まる景気懸念で-ハイテク集中も響く

「AIの夢は輝きを少し失った」とウィルソン氏。「AIというテーマ全体が過大評価されていただけだ。終わったわけではない」と述べた。

動画:ブルームバーグ・テレビジョンで話すマイク・ウィルソン氏

大型ハイテク株は年初からの大半を通じ、大量の買いを集めてきたが、ここに来て投資家はエクスポージャーを減らしている。来週にも政策金利が引き下げられると見込まれる現在、トレーダーらは米経済の温度を測りながら別のセクターにシフトしている。

ウィルソン氏は優良ディフェンシブ銘柄の選好をあらためて示した。半導体銘柄への熱狂が下火になる中、少なくとも一時的には公益事業や消費者必需品、ヘルスケアといった分野が有望だと推奨した。結果の善しあしにかかわらず「次のテーマ」が現れるまで、投資家はこうしたセクターの陰で身を潜める可能性が高いと述べた。

S&P500種株価指数とエヌビディア株、フィラデルフィア半導体株指数

ウィルソン氏は7月上旬、米金融政策と企業決算、米選挙を巡る不透明感が強まっているとして、株式市場は大幅反落に向かうと警告していた。S&P500種はそれから1カ月足らずでピークから8.5%安まで下げ、同氏の予想通りとなった。昨年は相場急落を予想したが、その読みは外れた。

大統領選挙について同氏は、経済のソフトランディング(軟着陸)シナリオを前提とした見方として、トランプ前大統領の成長政策が株式相場にはプラス、債券にはマイナスに働く可能性が高いと述べた。

「株式市場はトランプ寄りだと思う」とウィルソン氏。「トランプ氏当選の確率が高まると株式相場は上昇し、確率が低くなると相場は下げてきた」と述べた。

原題:Morgan Stanley’s Mike Wilson Says the AI Theme Is ‘Overcooked’(抜粋)

(最終3段落にウィルソン氏のコメントと関連情報を加えます)

--取材協力:Matt Turner、Annmarie Hordern、Lisa Abramowicz、Jonathan Ferro.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。