原発事故から13年半、廃炉に向けた新たな一歩だ。福島第一原子力発電所2号機で作業ミスにより約3週間中断していた燃料デブリの取り出し作業が、9月10日再開された。格納容器の内部に向けてロボットを投入、廃炉の最難関とされる取り出し作業に事故後初めて着手した。

<中断されていた作業が再開>
福島第一原子力発電所2号機。
事故で溶けた燃料などが冷えて固まった燃料デブリの取り出し作業は、10日朝、再開された。会見で東京電力の担当者は「試験的取り出し作業に着手したということになります。引き続き廃炉の貫徹に向けて、安全を最優先に緊張感を持って取り組んでいきます」と述べた。
少なくとも2週間以上かけて3グラム以下の燃料デブリを試験的に取り出す今回の計画。10日は格納容器の内部に向けてロボットを押し込む作業が行われた。

<廃炉の最難関作業は3回延期>
この廃炉の最難関とされ、事故後初めてとなる作業は、当初2021年に予定されていたが、準備作業の難航などによりこれまでに3回延期。
さらに、8月22日には、東京電力が「予定していた順番のものと違うということに気づいたので、本日の作業はそこまでと」と会見。ロボットを押し込むためのパイプをつなぐ順番を間違えていることが着手直前に発覚した。
作業は約3週間中断され、東京電力による確認不足が問題視されたことから、今回から一連の作業に社員を立ち会わせるなど再発防止策が取られた。

<住民の反応>
原発事故から13年半、廃炉に向けた新たな一歩に、原発が立地する双葉町で活動する語り部からは…。
双葉町浜野行政区長を務める高倉伊助さんは「(東京電力は)もうちょっとしっかりしなかったら、皆から反対賛成とかじゃなくて文句出るのも当たり前だし、そういうところ十二分に注意して、これからも進めてもらえればと思います」と話す。
一方、別の町民からは…。
双葉町駅西住宅管理組合組合長の國分信一さんは「デブリ取り出しも最初の予定から3年くらい遅れていますので、そこを取り戻すとかではなくて、慎重に1つ1つ手順を踏んでやっていただければ、地元の人たちも安心して過ごせるのかなと」と話す。

<廃炉の工程表は最終段階に>
1号機から3号機に合わせて880トンあると推計されている燃料デブリ。
2051年の廃炉完了に向けて、9月10日の着手により、廃炉は工程表で最終段階にあたる「第3期」に入った。

<燃料デブリどうやって取り出す?>
10日から再開された2号機の燃料デブリ取り出し。フラスコ型の格納容器に、釣り竿型のロボットを入れて、3グラム以下の燃料デブリを取り出す計画だ。
内部には大量の燃料デブリがある。この格納容器と外部を繋ぐ穴から…ロボットを入れてデブリを取り出す。デブリ到達まで1週間、持ち帰るまでさらに1週間かかる見通しだ。

<デブリを分析へ>
6年前、2018年の内部調査の映像。
現在と状況は変わっているが、トンネルのような穴をロボットが抜けて…格納容器の内部へ。広がっているデブリから、3グラム以下を取り出す。
そして今後は、デブリをどう本格的に取り出せるのか、硬さや臨界を起こす可能性などが分析される。

<3年遅れの廃炉作業>
廃炉作業は遅れている。
燃料デブリ取り出し開始までは当初2013年から8年が想定されていたが、結果かかったのは11年。9月10日から最終段階に入ったが、2051年の廃炉完了まで、ここからが最難関かつ未知なる作業となる。
安全最優先だが、ミスを繰り返さないことが東京電力には求められている。

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