まだ食べられるのに廃棄される食品「フードロス」。2022年度には国内で472万トンのフードロスが発生した。このフードロスを処理するために、地球温暖化の原因の一つとされる二酸化炭素が1046万トン排出されている。

国は2050年までに、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標に掲げている。フードロスを減らすことが、私たちにも簡単にできる温室効果ガス削減の取り組みだ。

秋田県湯沢市では、事業者が売れ残りを防ぎたい食品を出品し、消費者がお得に購入できるサービスが始まった。

湯沢市が9月2日から運用しているのが、フードシェアリングサービス「ゆざわタベスケ」。登録した市内の飲食店などが、消費期限が近いなどの理由で早めに売り切りたい商品を出品し、それを消費者が購入できる仕組みだ。「タベスケ」のサービスを活用している全国の自治体で3番目に多い、44の事業者が既に登録している。

湯沢市中心部にある湯沢ロイヤルホテルは、いち早く「ゆざわタベスケ」に登録した。登録のきっかけについて京野楽弥子さんは「スイーツの賞味期限が間近という時があって、そういうものをどうしようかと思うことがあった。客にも喜んでもらえるし、私たちもフードロス削減に貢献できるので利用したいと思った」と話す。

事業者は、アプリの専用ページに必要な情報を入力して商品を出品する。登録料や出品の手数料は無料で、導入のハードルが低いのもうれしいポイントだ。

一方、利用者はスマートフォンのアプリから購入を予約できる。商品の一覧を見てみると、25%オフ、50%オフと値段はかなりお得になっている。利用者は、商品ページで購入したい個数や受け取り時間を指定し、店に取りに行く。

今回初めて利用したという女性は「アプリ上で普段買わない商品も見られたので、買おうかなというきっかけになったし、安く購入できてお得感があった」と話した。

消費者と事業者、両方にメリットがある「ゆざわタベスケ」。市はフードロス削減にとどまらない効果にも期待を寄せる。

 湯沢市環境共生課環境対策班・阿倍大祐さん:
「新しい店を発見できるという効果もあると思う。店側にしても賞味期限が近いものだけではなく、例えばPRを強化したいもの、売り込みを強めたいものを販売してもらい、地域内の経済循環につながれば」

「ゆざわタベスケ」は、湯沢市民以外も利用可能だ。お得に買い物をして、フードロス削減に貢献してみてはいかがだろうか。

湯沢市は、2050年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指す「カーボンニュートラルシティ宣言」をしていて、市民にも自分事として対策に関わってもらおうとサービスをスタートさせた。

また、「ゆざわタベスケ」のロゴマークは、地元の湯沢翔北高校の生徒がデザインした。今後、市と生徒たちがタッグを組んで、サービス利用者増加の取り組みを進めることにしている。

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