品薄状態に価格高騰。米不足が続くなか、この事態を農家の人はどう思っているのか。本音を聞きました。
■“米不足”農家のホンネは?
見渡す限り水田が広がる日本一の米どころの新潟県。
都市部などでは米の品薄が続くなか、新米の収穫が始まっています。
たわわに、こうべを垂れる稲穂。早い時期に収穫される品種「こしいぶき」です。
猛暑が続いた今年、新米の実りは足りているのでしょうか。米どころの農家に本音を聞いてみました。
モヒカンの髪型が印象的な米農家・山嵜哲志さん。新潟県三条市で「コシヒカリ」や「こしいぶき」などを育て、出荷しています。
米農家 山嵜哲志さん
「今年の品質は去年から比べたらとても良い。去年がひどすぎたので今年の出来はとても良いかな。ただ、今までより(価格が)少し高いのかなと思うかもしれない。僕らも苦労してる分もあるので、それを踏まえてそう思ってもらえればありがたい」
山嵜さんは2021年に東京のコンテストで最高金賞を受賞。有機栽培で育てたコシヒカリが高く評価されています。
こうした実績から、農林水産省が行う意見交換会の委員に選ばれています。
米農家 山嵜哲志さん
「新潟、山嵜です。聞こえますでしょうか」
会議にはオンラインで参加。農水省では米の生産者や卸売業者、農協関係者などが集まり、米の需給状況について議論されます。
農水省 宮浦浩司総括審議官
「それぞれの立場で話をするというのが趣旨なので、今回も忌憚(きたん)なく情報交換、意見交換をしてほしい」
農家の代表として参加した山嵜さんは米の品薄状態について、どのように感じたのでしょうか。
米農家 山嵜哲志さん
「地方のスーパーも米がないといえばないのかもしれないが、たぶん都内のスーパーよりはまだきっと米が残っているので、もっと東京や大阪にいっぱい米を送れば良いと思った」
■スーパーは心配「まだ不安定」
新潟県のスーパーでは4日から新米の販売が始まり、「こしいぶき」が約100袋、店頭に並びます。今年は通常の10倍のペースで売れているといいます。
購入客
「5日間、米がなかった。パックご飯、そうめん、冷やし中華を食べていた」
ただ、新米の価格が高騰。これまで2000円台だった5キロの袋が3400円まで値上がりしています。
マルセン 太田雅悠専務
「価格は例年に比べたら非常に高い。これでも仕入れ値からすると、かなり抑えた価格で販売している」
香川県ではアメリカ産の米を仕入れるスーパーも。
大阪から来た人は国産米を抱きかかえ、喜びます。
大阪から帰省した人
「なかなか大阪では買えないので。たまたま実家に帰ってきた。(大阪では)一瞬のうちになくなるので、こんなに並んでいるのは壮観。久しぶりに見た」
先月から深刻な品薄が続いている大阪府のスーパーでは、開店から2時間後に入荷した米約30袋がようやく並びます。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「8月下旬から徐々に入荷量は増えているが、正直まだ不安定な状況が続いている。これから増えていくだろうという話はあるが、まだ具体的に何がどれくらいという情報は全く開示できないような状況が続いている」
安定して店頭に並ぶのは、いつになるのでしょうか。農水省の意見交換会に出席した卸売業者は…。
卸売業者「木徳神糧」 今野稔上席執行役員
「10月の中旬、下旬には全国の銘柄が出てくる。そのころには売り場に潤沢に商品が並ぶようになる」
米の供給がいまだ安定しないなか、「とにかく米を確保したい」という人たちの要望に応える動きも出ています。
オイシックス・ラ・大地 冨士聡子執行役員
「2025年産の新米予約を9月5日から開始する」
■9カ月前倒しで開始
食品宅配サービスの「オイシックス」は、早くも来年度の新米の予約受付を5日から始めます。
これまでに比べ、予約開始を9カ月も前倒した訳は…。
オイシックス・ラ・大地 冨士聡子執行役員
「皆さん目の前、きょうあした米が欲しいのが一番の要望。予約サービスを申し込む人はたくさんいて、明らかに直近の受注が多い。(米不足の)心配をしたくないということがあると思う」
「にじのきらめき」など比較的、暑さに強い品種などを育てる農家と提携し、年間を通して米を食卓に届けます。
一方、今年の新米について米農家は…。
大嶋農園 大嶋康司さん
「米は去年と同じように収量はあると思う。味は去年以上のものが出来上がっていると思う。皆さん慌てないで落ち着いて、食べる米だけを確保してもらったほうが良い」
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