(ブルームバーグ):日本の社債発行は9月にさらに減少するとみられている。日本銀行の利上げによって債券市場が乱高下したことで、より安いコストで資金調達したい発行体の社債発行意欲をそいでいる。

ブルームバーグがまとめたデータによると、8月の円建て社債の発行額は記録的な額だった2023年8月の1兆2700億円から21%減の1兆円だった。これは8月としては21年以来の低水準だ。

9月は現時点で7000億円弱が発行される予定。日本企業は昨年9月に1兆7500億円の社債を発行、同月としては19年以降の高水準だった。

一方、ブルームバーグの集計データでは、日本の社債スプレッド(国債上乗せ金利)は年初からほぼ一貫して縮小し7月に43ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を付けた後、7月末の日銀の追加利上げ以降に約1bp拡大した。

日銀の利上げに対する市場の反応は、米国で連邦公開市場委員会(FOMC)の会合や大統領選挙が行われることで、今後もスプレッドが拡大することを予感させる。日銀が金融引き締め策を続ければ、社債発行を一時的に停止せざるを得ない企業が増え、供給が途絶える可能性がある。

野村アセットマネジメントの宇治田達哉シニア・ポートフォリオマネジャーは、最近のスプレッド拡大は「金利上昇に対する投資家の慎重スタンス」によるものだと指摘した。

7月末の2回目の利上げを受けて、日銀が金融政策の正常化に向けてより積極的になるのではないかとの懸念が高まった後、プライマリー市場の動きが鈍化した。これは世界的な発行動向に逆行するもので、ブルームバーグが集計したデータによると8月のドル建て社債の発行額は前年同月比で40%増加した。

日本では超低金利が長年続いたため、発行体はより大きなプレミアムを支払って社債を発行している。借り手にとって、利上げは発行のタイミングをより慎重に検討することを意味する。東邦ガスは9月上旬に予定していた起債を延期した。

宇治田氏によれば、よりスプレッドの大きい一部の新発ハイブリッド債が、他の社債のイールドプレミアムの拡大につながっている可能性もあるという。

もっとも、日本企業の業績や財務のファンダメンタルズは強いため、需給要因によるスプレッドのワイド化が見られれば、中期的にはむしろ円債の投資妙味が高まると同氏は述べた。

住友化学と東洋紡が予定しているハイブリッド債は、前回よりも大きなスプレッドになる可能性が高い。

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