(ブルームバーグ):7月の米個人消費支出(PCE)は伸びが加速したが、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア価格指数は緩やかな伸びにとどまった。米金融当局が来月、利下げを開始するとの観測を後押しした。

PCEコア価格指数は3カ月間の年率で1.7%上昇と、年初来で最も低い伸びとなった。

支出は加速したが、所得の伸びははるかに鈍く、貯蓄率は低下した。このことは、今後の個人消費の持続性に疑問を投げかける可能性がある。

左:実質PCEの変化、右:コアPCE価格指数の3カ月年率

今回の統計は、景気に抑制的な金融政策を解除し始める時期だとの見方を後押ししている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が23日、利下げを開始する「時が来た」と発言した理由には、労働市場に亀裂が生じたこととインフレの持続的な低下が関係している。

KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「この統計は、インフレが落ち着く傾向にあり、年初に見られた再加速から脱したことを確認するものだ」と指摘。「本当のニュースは労働市場がどうなるかだ」と続けた。

金利スワップ市場が織り込む年内の利下げ幅は変わっていない。

金融政策当局者は、住宅とエネルギーを除くサービスインフレに注目している。同インフレ率は2カ月連続で前月比0.2%上昇。前年同月比では3.25%上昇と、ここ3年余りで最も低い伸びにとどまった。この指標はインフレの根強さをより強く示す傾向がある。

金融当局は2つの責務のうち、雇用の方に重点を置いていることを示唆している。経済の主要エンジンである個人消費の見通しに、労働市場の動向が影響することが一因。9月6日に発表される8月の雇用統計は、9月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合前に金融政策当局者が目にする最後の雇用統計となる。

インフレ調整後のPCEは前月比0.4%増加と、伸びが加速。特に自動車を中心とする財がけん引した。自動車はサイバー攻撃による混乱から回復した。サービス部門の支出はもっと控えめなペースだった。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー両氏はリポートで「7月の支出、所得、インフレのデータは予想と一致するか、予想より小幅に改善しており、(過熱も冷え込みもしない)ゴルディロックス経済の観測を再浮上させるかもしれない。しかし、この統計の詳細は、経済活動が冷え込みつつあることを示しており、今年後半には所得と支出の減速がより顕著になる可能性が高い」と記述した。

所得の伸びは期待外れの内容となった。実質可処分所得は2カ月連続でわずかな増加にとどまり、貯蓄率は2.9%と、2008年以降で2番目に低い水準となった。

インフレ調整前の賃金・給与は前月比0.3%増と、前月からわずかに加速したが、2023年の大半の伸びを大幅に下回っている。

統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Fed Favored Inflation Gauge’s Mild Gain Sets Stage for Rate Cut(抜粋)

(最終3段落を加え、更新します)

--取材協力:Chris Middleton、Matthew Boesler、Cecile Daurat.

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