福島第一原発の処理水の海洋放出が始まって今月24日で1年。中国が日本産の水産物の輸入を停止した状態が続くなか、岸田文雄総理大臣は福島県内の魚市場を視察しました。
■福島第一原発 処理水放出から1年
福島県いわき市の小名浜港で水揚げされたカツオにイセエビ。すぐに売り場に運ばれるわけではありません。
関係者
「ここで測っているのはセシウムのみの検査になります。300グラムぐらいあれば5分で結果が出せる機械です」
こうした放射性物質の検査を漁協は水揚げするたびに行っています。
東京電力の福島第1原発にたまった処理水の海洋放出が始まって1年。漁業者が恐れるのは風評被害です。
福島県漁連 鈴木哲二専務理事
「我々、漁業者はかねてから海洋放出に反対という立場は変わりなく、この1年が経過したなかでは風評被害が拡大しなかったことに安堵(あんど)しています」
午後、いわき市の魚市場を視察した岸田総理。
岸田総理大臣
「いいですね」
これまでに5万4700トン余りの処理水が福島の海に流されましたが、周辺の海水の放射性物質「トリチウム」の濃度は基準を大幅に下回っています。
岸田総理大臣
「分かりやすく情報発信に努めるとともに、政府が全力を挙げて全責任を持って最後まで取り組んでいきたい」
東京・目黒区の鮮魚店「サカナバッカ中目黒」。福島の魚を積極的に仕入れ、消費を応援しています。
買い物客
「私は気にしないです。自分の探している望んでいるものがあったら買いたいというだけなので」
「小さい子どもがいれば気にするでしょうね」
「さほど、そういうことは気にしないでいただいています」
流通大手のイオンが初めて公開したのが…。
化研 川上智彦技術部長
「こちらで魚の処理をしていて、測定するのが奥の部屋になります」
取り扱う福島産の魚にトリチウムが含まれていないか調べる検査場です。安全性をアピールする狙いです。
安全を確保して魚の消費を促す動きが国内で進むなか、海外では…。
10時間待ちの行列ができたのは先日、北京にオープンした日本の有名すしチェーンです。
ただ、すしに日本の魚は使われていません。その理由が…。
中国外務省 毛寧報道官
「日本は周辺国と十分な協議のない状況で一方的に海洋放出を始め、全世界にリスクを転嫁している」
処理水の放出以降続く、中国による日本産の水産物の輸入停止措置に終わりが見えません。
今年、上半期の水産物の輸出額は去年と比べて20%以上減っています。
全国漁業協同組合連合会 坂本雅信会長
「中国をはじめとした国が輸入規制をしているわけで先が全く見通せない状況であって、国がしっかり対応しなければ我々はどうしようもない」
こうしたなか、海外に販路を広げる動きも進んでいます。
都内で開かれた魚の国際見本市。
バイヤー
「これ冷蔵ですよね?」
出店者
「冷蔵です」
バイヤー
「どのくらいもちます?」
出店者
「出荷日から7日間」
メキシコから日本の魚を買い付けに来た佐藤さん。現地では、ここ数年、日本の水産物の需要が高まっているといいます。
バイヤー 佐藤大地さん
「抜群にトップレベルだと思います。日本の漁師が工夫して締めたりパッキングする技術はメキシコにない。(取引量は)右肩上がりになっている。(今後)もっと上がっていくのでは」
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