(ブルームバーグ):日本製鉄とJFEホールディングスは22日、豪石炭大手のホワイトヘイブン・コール(WHC)が保有する豪州の炭鉱権益の一部を計10億8000万ドル(約1570億円)で取得すると明らかにした。

両社のそれぞれの発表によると、日鉄は豪州北東に位置するクイーンズランド州のブラックウォーター炭鉱権益の20%、JFEは10%を取得する。また両社はオフテイク契約により同炭鉱で生産される原料炭を長期にわたって引き取る。

日本製鉄の千葉県君津市にある製鉄所の様子

製鉄の原料として使われる原料炭を巡っては、資源大手による権益の寡占化が進んでおり、安定確保のために日鉄などは上流事業の拡大を図っている。日鉄は今回の投資により投資先からの石炭調達率はこれまでの約30%から約35%に上昇し、さらなる比率向上を目指すとしている。

日鉄の永井竜一常務執行役員はオンライン会見で今回の投資について、かつては少額出資が多かったが、昨年発表したカナダの原料炭事業への出資を含め、「変化する市場環境においても安定的な収益を確保できるような形として、あるいは出資の事業体に対してその意思決定に対して参画できるような比率を確保することで、われわれの事業の厚みを増すという方針のもとに出資を拡大している」と説明した。

また、ロシアによるウクライナ侵攻後などに原料炭が鉄鋼製品価格とリンクしない形で高騰するような状況もあり、上流権益への投資を拡大することでそういったリスクをヘッジできることもメリットの1つだと永井氏は話した。

日鉄の発表によると、当局の承認後に契約を完了させ、WHC・JFEとジョイントベンチャーを組成する。JFEによると、ブラックウォーター炭鉱の年間生産量は1010万トン。資源量は8億トンあり30年以上の採掘が可能だという。

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