(イラスト:奈良裕己)日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新。新NISAもスタートするなど、資産運用には絶好のチャンスが到来している。『週刊東洋経済』4月27日-5月4日 合併号の第1特集は「1億円を目指す 資産運用大全」だ。今や資産1億円も夢ではない。『週刊東洋経済 2024年4/27・5/4合併号(1億円を目指す資産運用大全)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

「いよいよ歴史的瞬間が来る」

2月22日。この日の東京株式市場は、米国の半導体大手エヌビディアが予想を上回る決算を発表したことで寄り付きから日経平均株価が高騰、市場関係者は浮き立っていた。

岩井コスモ証券の株の売買注文を受け付けるコールセンターでは、株価を示す電光掲示板を職員たちが食い入るように見つめていた。

10時16分、バブル期の1989年12月29日につけた日経平均の終値3万8915円87銭を上回ると、「おー、史上最高値更新!」との大きな声が響き渡り、拍手が湧き起こった。準備されていたくす玉も割られ、34年ぶりの最高値更新を祝った。

後場の取引が始まると株価はさらに上がり、ザラバ(取引時間中)の最高値も突破。その後も株価の上昇は止まらず、前日より836円52銭高い3万9098円68銭で引けた。

「バブル期とはまったく違う」

この日、大和証券グループ本社の中田誠司社長(当時)は、「バブル期のときとはまったく違う冷静な判断の下につけた株価だと思っている。もう失われた30年とか、(最高値は)3万8915円だったとか、今後言わないほうがいいのではないか」と高揚した表情で語った。

その後も日経平均は上がり続け3月4日には史上初の4万円台に突入。市場関係者からは、「これはあくまで通過点で、長期で見れば10万円超えも夢ではない」との声も上がっている。

日経平均の史上最高値更新を祝ってくす玉が割られた(写真:共同)画像を拡大

動き始めた個人マネー

実に34年ぶりとなる最高値更新に沸く株式市場だが、これはさまざまな追い風を受けた結果だ。

下図を見ていただきたい。これは、株高の主な要因をまとめたもの。まず大きいのは歴史的な円安と、米国の株高といった市場要因だ。さらに中国経済の減速により、中国に集中していたマネーが日本市場にシフトしていることも大きなインパクトとなっている。

そして、貯蓄から投資へのシフトを促すために2014年から始まったNISA(少額投資非課税制度)が、今年1月から年間投資上限額が拡大されたり非課税の期間が無期限になったりするなど拡充されたことで、個人マネーが株式市場に流入した。

東京証券取引所も、市場区分の見直しのほかPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に改善を促すなど、海外の投資家から問題視されていた課題に取り組み始めたことで、海外マネーが流入している。

さらに日本企業が、業界や個別の事情によって濃淡こそあれ、多くは業績好調というのも大きい。

つまり、日本株にマネーが押し寄せる条件が整っているということもあり、日経平均を押し上げているというわけだ。

こうした環境下で、個人マネーも確実に動き始めている。

「口座開設数はこれまで月に8000件程度だったが、1、2月はそれぞれ1万3000件、日経平均最高値更新後の3月は1万7000件に上っている」と語るのはネット証券最大手の1つである松井証券の担当者だ。

口座開設数のみならず、取引も急増している。コロナ禍で3兆円近辺まで沈んだ同社の月間株式売買代金は、今年2月には5兆円を突破し、3月には5兆4000億円を超えた。

相談者の7割が女性

これまで資産運用とは縁遠かった顧客層も参入し始めている。

オンラインで金融相談サービスを展開しているスタートアップ企業の400Fは、「今年に入って相談数が3倍程度に急増した。相談者は20代から60代まで幅広い」とし、「最近では30代の相談者がメインで、74%が女性となるなど、利用者層が拡大している」という。

(イラスト:奈良裕己)

「将来、年金がもらえるのか不安だから今から積み立て投資を始めたいといった女性から、すでに投資信託のインデックスファンドで積み立て投資はやっているものの、さらに稼ぎたいと思うので次に投資すべき商品を提案してほしいといったものまで、幅広い相談が寄せられている。提案を受けた2割以上の相談者がすぐ実践しているようだ」(400F)という。

さらに、「すでに株式投資をやっている中高年世代から『自分たちの子どもにも今から投資の勉強をさせたいので、相談に乗ってもらえないか』といった依頼が増えている」と語るのは岩井コスモ証券の担当者だ。

「とくに新NISAがスタートしてからそうした相談が増えてきた。最近ではエヌビディア株の上昇を受けて、米国株投資を子どもにやらせたいという相談も増加している」(岩井コスモ証券)という。

個人マネーの流入は統計にも表れている。下図を見ていただきたい。これは日本銀行の資金循環統計だが、これまでは現金・預金に集中していた資産が株や投信にも向かい始め、このところの株高もあって金融資産残高が膨らんでいることがわかる。

投信の純資産が過去最高

中でも投信は、公募投信の純資産総額が24年3月末時点で227兆0241億円と過去最高を記録。ETF(上場投資信託)を除く株式投信の資金流出入は、1兆2800億円の流入超過となり、16年ぶりの高い水準となっている。まさに「資産運用熱狂時代」の様相を呈しているといえるのだ。

こうした環境下、積み立て投資によって資産1億円を形成することも決して夢ではなくなってきた。投資金額と期間、利回りを上手に設定すれば、誰にでも1億円をつくり出すことは可能なのだ。

そこで『週刊東洋経済』4月27日-5月4日 合併号の特集では、投資初心者から中級者を対象に投資の基礎から実践に至るまで幅広くご紹介。資産1億円への道をシミュレーションしたほか、投資すべき投信や株の銘柄も詳しく取り上げる。そして最も大事な売り時、つまり利益確定についても解説した。

足元では日経平均が4万円を割り込んでいるが、新NISAが始まった今こそ、資産運用を始めてみてはいかがだろうか。

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