(ブルームバーグ):ジュピター・アセット・マネジメントは、日本銀行が2025年にかけて利上げを続ける可能性が高いとの見方から、円に強気のポジションを増やしている。

ファンドマネジャーのマーク・ナッシュ氏(ロンドン在勤)は「現在市場に織り込まれている日本の金利は低過ぎるし、米国の実質金利は高過ぎる」と述べ、円上昇を見込むのは「いずれの側面から見ても有利な、ほぼ完璧な取引の一つだ」と語った。同氏が運用するアブソルートリターン債券戦略の過去5年の成績は同種ファンドの9割近くを上回っている。

円高を見込む投資は現在、ナッシュ氏のファンドで最大の通貨ポジションであり、そのリスクエクスポージャーの約15%を占めている。同氏は19日に円に強気のポジションを追加し、スイス・フラン、オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルに対して円を買っているという。

バンガードとRBCブルーベイ・アセット・マネジメントもナッシュ氏と同様の見方で、日本の金利がさらに上昇する可能性が高いとみている。対照的に、市場では年内の日銀追加利上げの観測が急速に後退している。

円相場予想がこれほど重要だったことはめったにない。円安を見込む巨額のポジションは、8月初めの円急伸で総崩れとなった。

日銀は金利を「ある時点で1%に引き上げるだろう。今後1年間に四半期に1回程度の利上げをするのではないか」と話すナッシュ氏は、利上げに伴い円が1ドル=130円程度まで上昇する余地があるとみている。東京市場21日午前7時25分時点では145円18銭で取引された。

ナッシュ氏は、金利が上昇するとの自身の見方を反映させ、日本の10年国債に弱気のポジションを増やした。日本の30年国債には強気だ。

同氏はまた、円で借り入れて高利回りの資産に投資するキャリートレードの大部分が一掃されたとみている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、この取引の主要プレーヤーであるヘッジファンドは8月13日までの週に、21年以降で初めて円に対して強気に転じた。

「今や事態は変わったので、再びキャリートレードに飲み込まれることはないと思う。日本の政策は間違った位置にあるため、円相場が回復するのは理にかなっている」とナッシュ氏は語った。

原題:Jupiter’s Nash Has Made Buying the Yen His Biggest Currency Bet(抜粋)

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