映画撮影の現場などで俳優と監督を仲介する「インティマシー・コーディネーター」が今注目を集めています。
どんな仕事?日本に数人だけ『インティマシー・コーディネーター』の浅田智穂さんに取材
インティマシー・コーディネーターは、映画やドラマなどで性的なシーンを撮影する際に俳優が無理強いされないよう心や体を守る職業です。現在公開中のある映画で出演俳優が起用を依頼したにもかかわらず監督が拒否したことで、SNSに批判的なコメントが溢れる事態となり、この職業に注目が集まりました。
一体どんな仕事なのか、日本に数人しかいないインティマシー・コーディネーターの1人、浅田智穂さんに取材しました。
(浅田智穂さん)「監督が“こういった描写をしたい”という時に、俳優が同意できて、それが可能かどうか。(俳優側が)できない、やりたくないことがある場合にこのシーンをどのようにすれば監督の求めているものに近づけることができるか、ということを調整しています」
以前、浅田さんが関わった現場。そこでは、まず撮影に入る前に、浅田さんが監督と台本の打ち合わせを行いました。
(浅田さん)「ページ12で『健介じっとサワコを見つめそして頬に触れる』から始まるんですよね。『胸元を見てしまって』とか。これはいつものいわゆるキャミソールみたいな感じ?」
(監督)「そうです。下にもちろんブラジャーしてて。ブラジャー越しの胸の谷間といいますか、そういうのが感じられればいいっていうか」
ドラマの台本は一般的に筋書きだけで、衣装や細かい俳優の動きまで書かれていないため、浅田さんが間に入って事前にすり合わせます。
(浅田さん)「『(声が)漏れ始める』なので…」
(監督)「この辺(首)を優しくゆっくり…キスの中で胸にいくのをやっていいのかだけ確認していただけると助かります」
(浅田さん)「わかりました」
監督から聞き取った内容は撮影日より前に俳優本人に確認を行います。また、通常、映画撮影は大勢のスタッフで行われますが、性的なシーンの撮影時には最小限の人数にするよう調整するのです。
俳優からは「安心して芝居に取り組めた」
(浅田智穂さん)「(Q俳優からどんな言葉をかけられましたか?)『安心して芝居に取り組めた』っていう意見や感想をいただくことが多いですね。いてくれてありがとうとか、そういった言葉をかけていただけると励みになります」
近年、映画界で相次いだ性暴力の告発を受け、日本でも需要が増えてきているインティマシー・コーディネーター。
(浅田智穂さん)「私は、いい作品にはいい芝居が必要だと思っていて、いい芝居をするためにはやはり集中できる安心な環境、安全な環境(が必要)と思う。今までご一緒した方々が良かったからまた呼んでくださるとか、そういうポジティブな感想の連鎖でインティマシー・コーディネーターが広がっていくことを私は望んでいます」
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