(ブルームバーグ):消費者関連業界で2件の大型買収案件が浮上し、通常なら夏枯れとなるこの時期に銀行関係者は多忙な日々を送っている。足元の動きは企業の間で信頼感が高まっていることを示唆しており、ディールメーキングの復活を後押ししている。

19日には、セブン&アイ・ホールディングス(HD)がカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールから法的拘束力のない初期的な買収提案を受けたと発表。同日の東京市場で7&iHDの株価は急伸した。

先週には、 米スナック菓子メーカーのマースが同業のケラノバを360億ドル(約5兆3000億円)弱で買収することで合意。買収ターゲットとなった企業はいずれも、アクティビスト(物言う株主)からの圧力を受けていた。

先月はすでに、7月としてはここ3年でM&A(企業の合併・買収)が最も活況となっていた。これには、米航空機メーカー、ボーイングによる47億ドルでのスピリット・エアロシステムズ・ホールディングスの買収や、ドイツのロバート・ボッシュによる米ジョンソンコントロールズインターナショナル(JCI)の暖房・換気・空調(HVAC)部門資産取得(80億ドル規模)が含まれる。

ブルームバーグがまとめたデータによると、6月初め以降、世界で総額7250億ドル余りのディールが発表されており、前年同期比で20%増えた。

ワクテル・リプトン・ローゼン・アンド・カッツのコーポレートパートナーであるエリーナ・テテルバウム氏は「この夏は特に活況で、ここ数年と比べて、ディールメーキングに大きなエネルギーが戻っているのを感じる」と指摘。「9月の米利下げが予想される中、この勢いは年内いっぱいから2025年にかけて引き続き加速しそうだ」と述べた。

発表されたM&Aの規模

JPモルガン・チェースやシティグループ、ウェルズ・ファーゴなど米銀大手の多くは、4-6月(第2四半期)決算で投資銀行業務の回復を示した。カナダのオンタリオ州公務員年金基金(OMERS)は先週、手元資金がここ数十年で最も積み上がっており、金利低下をにらみディール復活へ準備を進めていると述べた。モルガン・スタンレーのテッド・ピック最高経営責任者(CEO)は7月、M&A復活の見通しについて「かなり強気」との見解を示している。

エドガー・ブロンフマン・ジュニア氏

19日にはまた、半導体メーカーの米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)がサーバーメーカーのZTシステムズを49億ドルで買収することで合意した。

今後も買収に関する発表が続く可能性がある。ブルームバーグ・ニュースは先週、カナダの酒造メーカー、シーグラム創業家のオーナーで、投資家のエドガー・ブロンフマン・ジュニア氏が米メディア・映画大手パラマウント・グローバルへの買収提案に近づいていると報じた。

原題:Summer Deals Heat Up as 7-Eleven, Pop Tarts Drive M&A Wave (1)(抜粋)

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