(ブルームバーグ):米資産運用大手アライアンス・バーンスタインの橋本雄介ポートフォリオ・マネジャーは、円安が加速して日本銀行に対応を求める声が再び強まらない限り、年内追加利上げは難しいとの見方を示した。

橋本氏は16日のインタビューで、円の対ドル相場が1ドル=160円を超えて円安が進んで、「円安を止めるために日銀が対応すべきだという声が上がらない限り、利上げはする必要がない。基本的には今年中には難しいのではないか」と述べた。

日銀は7月末に追加利上げに踏み切ったが、その後、急激な円高が進行し株価が急落した。植田和男日銀総裁は金融政策決定会合後の会見でさらなる利上げに意欲を示したが、金融市場では利上げ観測は沈静化している。週末に開かれる衆参両院での閉会中審査で、内田真一副総裁に続き植田総裁も追加利上げに慎重な見方を示すか注目が高まっている。

橋本氏は日銀の利上げ後の金融市場の混乱について「円ショート、株式、特に銀行株のロング、日本国債ショートというコンセンサストレードはだいぶ解消した」と指摘。貿易収支構造の変化により円安トレンドは今後も続くものの、米国で9月から利下げ局面に入るため「円キャリーポジションが以前のような規模に膨らむことは想定していない」と述べた。

7月の利上げ前には河野太郎デジタル相や茂木敏充自民党幹事長など退陣表明した岸田首相の後継候補と目される政治家から、日銀に利上げを促す発言が相次いだ。橋本氏は、日本株大幅下落という予想外の事態が起きたことで「政治サイドからの圧力は今後しばらくないだろう」と語った。

日銀が7月の金融政策決定会合で公表した国債の買い入れ減額計画については「正直、思っていたよりは慎重な印象だ」と指摘。日銀が利上げを進めると日銀当座預金への利払いが保有国債による利息収入を上回り赤字に陥る可能性が高まるため、日銀の利上げは0.5%止まりとの見方に変わりはないと言う。

国内金利についても10年金利で1%、30年金利で2%を中心とするレンジで推移するという基本シナリオも変えてないとしている。

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