(ブルームバーグ):中国本土の株式市場は2024年に初めて年間ベースで外国勢の売り越しに見舞われる可能性がある。ただ、実際にそうなったとしても、投資家にそれを確認する手立てはない。
中国の証券取引所は19日から本土外資金の動向に関する日次データの公表を停止する。8兆3000億ドル(約1225兆円)規模の市場を追跡する重要なセンチメント指標が失われることになる。
この変更は4月に初めて示唆されていた。海外勢は市場から着実に資金を引き揚げ、16日時点で年初来の累計が売り越しとなっている。
アナリストらはデータ公表停止について、頻繁に更新されるデータによって引き起こされるボラティリティーを抑え、投資家の関心をより長期的な指標に向けさせようとする当局の新たな株価対策とみている。
アバディーン・アジアの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏は「当局がデータ発表を中止したのは、データが思わしくなく、不安定だからだ。恐らくデータによって資本流出が増幅されることを望んでいない」のだろうが、「これは問題の抜本的解決にならない」と指摘した。
もし売りが続けば、中国本土の株式市場はブルームバーグが本土・香港市場の株式相互取引(ストックコネクト)を経由した買いを追跡し始めた16年以後で初の年間流出となる。
データがないため、投資家は海外事業体が保有する金融資産に関する中国人民銀行(中央銀行)の四半期報告に頼らざるを得ない。ただ、この報告にはタイムラグがあり、フローではなく、より広範な経路を通じ外国人が保有する株式を示している。
透明性の欠如
中国本土株の指標CSI300指数は5月のピークから9%余り下落。期待された企業業績の回復が実現せず、政策支援も不十分だった。年初来で2.5%安の同指数は、このままいけば過去最悪の4年連続の値下がりとなる。
米大統領選を控え、反中的なレトリックや貿易措置が加速すると予想されるため、グローバルファンドは中国株を敬遠する理由をさらに見つけそうだ。
モルガン・スタンレーのローラ・ワン氏らアナリストは15日のリポートで、「期待外れのマクロ指標が発表され、政策緩和は依然として消極的で、市場心理が停滞している。市場のボラティリティーは比較的高いままと見込まれ、当面はよりディフェンシブなポジションを取ることを勧める」とコメントした。
今回の決定は、5月にストックコネクトを介した日中のフローに関するデータの開示を終了したことに続くものだ。中国は昨年、投資信託商品の純資産額について、リアルタイム推定値の表示を停止するよう運用会社に求めた。
中国ではデータの透明性欠如が常に問題となっており、特に経済や市場にとって好ましくない情報の場合、説明なしに統計の公表が中止されることがある。
原題:Chinese Stock Investors Lose a Key Indicator to Gauge Sentiment(抜粋)
--取材協力:Mengchen Lu.
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