(ブルームバーグ):2週間前に大規模な巻き戻しに見舞われた円を中心とする人気のキャリートレードが徐々に復活しつつあるようだ。

円は8月5日以降、対ドルで5%余り下落している。日本銀行によるタカ派的な動き、米企業業績を巡る不安、軟調な米雇用統計が重なり、円相場はその日、7カ月ぶりの高値を記録した。

野村インターナショナルは、さまざまな投資家が円で調達した資金を他の高利回り資産に投資し始める動きを目にしている。これは企業顧客やヘッジファンドがキャリートレードに再び参入していることを示唆する。

同社のG10スポットトレーディング責任者、アントニー・フォスター氏(ロンドン在勤)は、予想を上回る米小売売上高の発表後にキャリートレードへの「注目すべき回帰が見られている」と指摘。複数のアカウントから対円で豪ドルと英ポンドの買いが入っていると述べた。

ATFXグローバル・マーケッツによると、円ショートポジションはこの1週間で約30-40%増加しており、その大半はヘッジファンドや富裕層顧客によるものだという。

ブランディーワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのアソシエート・ポートフォリオマネジャー、ウィリアム・ボーン氏は、「人々の記憶はかなり短い」とキャリートレードとそれを利用する投資家に言及。「こうしたスペースにはモメンタム系トレーダーが非常に多く存在する」と語った。

キャリートレードをまだ手控えている投資家にとって大きな疑問の一つは、日銀が年内に追加利上げするかどうかだ。内田真一副総裁は、金融市場が不安定な状況では利上げしない考えを示している。

日銀が追加利上げを控えれば、キャリートレード再参入の魅力は増す見込みだ。

原題:Yen Carry Trade Risks Making Comeback As Hedge Funds Reload Bets(抜粋)

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