(ブルームバーグ):円相場が急変動し、株価も激しい急落に見舞われた6日終了週の最新データで、投機的トレーダーが円安方向に賭ける投資ポジションを急激に縮小した様子が明らかになった。

米商品先物取引委員会(CFTC)が9日公表した6日終了週の建玉(未決済約定)報告によれば、ヘッジファンドの円の売り越しは2万243枚と4万9336枚急減した。 トレーダーのセンチメント上向きを反映する数字としては、2006年以降で5番目に大きい。

日本銀行が利上げを継続するとの観測に連動し、円高が劇的に進行した後、ヘッジファンドの売り越し激減が示された。日本のような低金利国の通貨で借り入れ、高金利国の資産に投じるキャリートレードの見直しに世界中で拍車が掛かった。

三菱UFJ信託銀行の横田裕矢氏は「最近の円の動きがキャリートレードの大きな巻き戻しを引き起こした」と指摘した。

モルガン・スタンレーのストラテジストらは、かなりの誤差を認めつつも、円で資金調達するキャリートレードの約60%が解消されたと推計を示し、JPモルガン・チェースは、グローバルキャリーバスケットのスポットコンポーネントを見る限り、グローバルキャリートレードの約75%解消が示唆されたと明らかにした。

日銀は7月末の利上げ決定が市場のボラティリティーに火を付けたと批判を浴びたが、キャリートレードの巻き戻しを前提とすれば、待てばもっと悪い結果になっていたと指摘するアナリストもいる。

ペッパーストーン・グループの調査責任者クリス・ウェストン氏は「キャリートレードがどこに存在し、どれほど大きな資金が関与し、市場がどう反応するかについて、日銀は非常に確固とした考えを持っていたはずだ。今回の会合でそれを行い、キャリートレードをつぶしたことは理にかなう」と見解を示した。

原題:Bets Against Yen Crater as Volatility Scares Crowded Carry Trade(抜粋)

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