年々高騰を続けているうなぎですが、おいしいうな重が1600円~で食べられるうなぎチェーン店が話題となっています。ものすごいスピードで店舗数を増やしている、その秘密とは?社長にも話を聞きました。
連日の猛暑。そんな時に食べたくなるのがうなぎ。しかし、うなぎといえばどうしても「高い」というイメージが。街の人も…
「年に1回、土用の丑の日しか食べないです」
「特別な時に食べに行くっていう感じですかね」
「高くてなかなか食べられないです」
「うなぎ半尾」のうな重が1600円 『鰻の成瀬』を調査
そんな中、価格を抑えて店舗数が急拡大しているうなぎのお店があるんです!それが「鰻の成瀬」。山中真アナウンサーが高槻店で話を聞きました。
(鰻の成瀬・高槻店 佐藤里奈オーナー)「うな重の梅・竹・松、うなぎの量の違いで準備しております」
(山中アナ)「松でも2600円」
(佐藤里奈オーナー)「丸々1尾使ったうな重です」
(山中アナ)「1尾!?1尾のうな重は正直頼んだことないですが、きょうはせっかくなので『松』をお願いします」
そして、待つことたった8分でうな重の松(税込み2600円)が。
(山中アナ)「早いですね。いつもこんなものですか?」
(佐藤里奈オーナー)「はい、基本的には10分ほどでご提供できております」
気になる、そのお味は?
(山中アナ)「肉厚な立派なうなぎ。香ばしさと、身のふわふわとおいしい!」
1番安い「梅」だとうなぎが半尾のって1600円(※1600円)というお値段。
長年の勘が必要な「焼き」も機械で!
「安い・早い・おいしい」そのカラクリを探ってみました。まずはうなぎの焼き方。
(山中アナ)「うなぎ屋さんというと、焼くのが職人技というイメージがあるんですが、どうしてるんですか?」
(佐藤里奈オーナー)「うちの職人はこの機械1つです」
え?職人が機械!?残念ながら企業秘密で見せられないということですが、この機械で手間のかかる「蒸し」から長年の勘がいるとされる「焼き」まで、職人顔負けの働きをするといいます。
(佐藤里奈オーナー)「焼き加減も成瀬では機械で統一していることで、アルバイトでもおいしく早く出せるというところで、コストダウンと職人技を兼ね備えております」
事前に蒸すことで焼き上げるのにかかる時間は5分ほど。こうして、提供スピードを早めているんです。
そして店舗形態にも秘密が。「居抜き」で店舗を借りることでコストダウンを実現しているというのです。なので店舗ごとに内装はバラバラ。それも鰻の成瀬の特徴なんだとか。
午後5時、開店時間になるとお店の前には大勢の人が。お客さんの反応は…
「安くて、肉厚で、脂ものっていて、めっちゃうまかったです」
「おいしかったです。こんな安いのに、こんなにおいしいとは思わなかったです」
「おいしい。(Qうなぎは好き?)うん、好き」
「何屋さんでもよかった」と話す社長が成し遂げたかったこととは?
鰻の成瀬は2022年9月、横浜に1店舗目を出店して以降、今年7月24日時点でなんと230店舗に。まさに“うなぎのぼり”の急拡大!そして今年6月には海外(香港)へも出店。
社長を務めているのは山本昌弘さん。なんと、飲食経験はなくコンサルタントの経験がいまの店舗経営に存分に生かされているんだとか。鰻の成瀬の“儲けのカラクリ”を知るべく、山本社長に話を聞きました。
(フランチャイズビジネスインキュベーション 山本昌弘社長)「(Q出店スピードが異様に速いと思うが?)異常ですね。せきたてられているわけではないんですけれども、非常にオペレーションが軽い飲食店になっていますので、研修なんかもすごく楽なんですよ。何屋さんでも良かったんですけど、やっぱり勝率が高くないといけないので、うなぎ業界であれば、その勝率が高いというのは実現できるんじゃないかなと」
そもそも鰻がやりたかったのではなく、フランチャイズの加盟店が儲かるビジネスモデルをつくりたかったという山本社長。フランチャイズはどうしても本部側が少し上の立場で加盟店が儲からないというケースを見てきたため、加盟店も儲かる仕組み作りたいと考えた結果、鰻にたどり着いたということです。
では、なぜ鰻なのか。まず、フランチャイズ加盟店にとっては一等地でなくても展開できることが大事です。一等地に比べて二等地のほうが最初の投資が安く済むうえ、すぐに借りられるということです。ただ、一等地ではないとすると駅前などではないため、客が来る頻度を考えると少ない人数でも稼げるように単価を高くする必要があります。2000円でも安いと思って人が来てくれる食材ということで、鰻に行き着いたそうです。
社長は「成瀬さん」ではなく「山本さん」だが…?
鰻の成瀬は営業時間が少し短めで、昼は午前11時~午後2時、夜は午後5時~午後8時。これにも理由があり、アルバイトの人を確保しやすいからだということです。昼の営業が午後2時までなら、主婦の人は子どもが帰ってくる前に帰れます。夜の営業が午後8時までなら、学生の人がアルバイト後に勉強の時間を確保できるほか、帰宅が遅くなりません。外食産業が人手不足の中で、こういった部分も加盟店目線です。
では、山本社長なのになぜ『鰻の成瀬』?これは意外な理由で、事業を最初に担当したのがたまたま「成瀬さん」だったからだということです。成瀬さんとはどんな方なのか、取材班が写真を借りたいとお願いしたところ、シャイな方で許可は出ませんでした。しかし、直営店で働く場合、面接担当は成瀬さんだということなので、アルバイトをすると会えるかもしれません。
そして、取材する中で聞いた山本社長の驚きのひと言が「うなぎブームは絶対に来てほしくない!」。鰻の成瀬がうまくいったことで同業者が似たような店を作って鰻ブームになってしまうと、ブームが去ることが怖いため、同業者は来ないでほしいという思いがあるそうです。
また、昔のお店を脅かすことはしたくない、共存したいとも話していました。鰻の成瀬では機械でおいしく焼き上げるのにこだわっていますが、職人技の鰻と全く同じだとは思っていないとしていて、あくまで“この価格でこのクオリティ”で食べたい方は来てほしい、ということです。
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