約34年ぶりとなる歴史的な円安水準を歓迎している人と、困惑している人がいます。

旅行を楽しむ外国人にとっては、安くて過ごしやすい国になっている日本。
アメリカからの観光客:「日本では好きなものを安く買えるので、うれしいです」
台湾からの観光客:「最近、ルイ・ヴィトンとか、日本で買ったほうが安いと聞いた。ブランド品で免税で円安で安くなる」

今年1〜3月の訪日客数、旅行消費額はともに過去最高を更新しました。

一方、働く外国人にとっては、住みやすいとは言えない国になっているのが、日本の現状でもあります。

東京・新大久保にある海外送金所。世界中どこにでも送金ができ、手数料も銀行の3分の1以下で済むため、多くの利用客が訪れています。

バングラデシュへ送金の人:「家族の生活費と弟と妹の勉強代。バングラデシュのお金で10万円くらい。妹は、専門学校で看護師の勉強をしています。そこのお金を送らないと」

父親に5万円、送金した男性。
バングラデシュへ送金の人:「イスラム教なので、断食が終わって、大きな祭りがあるんです。それでプレゼント買ったり、遊んでくださいと送りました」

円安に加えて、バングラデシュの物価が上昇し、以前は3万5000円で十分だった祝い金が今や5万円になっています。留学生として来日し、いまは通信関係の会社に勤務。そして、弟も、海外に出ようとしているそうです。
バングラデシュに送金の人:「(Q.弟も日本に来る可能性がある)迷っていますね。(日本は)家賃・ごはん・生活費を払ったら、旅行はできない。貯金を考えると。日本、好きなんだけど、自分の将来のことを考えないと」

日本で働く外国人は約200万人。前年から約22万人増加し、過去最高を更新しています。そのなかでも、私たち日本人の生活を支えてくれているといっても過言ではないのが、技能実習生として来日している外国人たちです。

千葉県にある鋼材加工の会社では、外国人が大きな戦力となっています。職場にいる半数ほどが外国人。なかでも多いのがイスラム教徒の実習生です。

工場のすぐそばには礼拝堂があります。すこしでも働きやすい環境になればと、3年半前に建てました。

止まる気配のない円安の影響などで、日本が選ばれない国となることに向後賢司社長(76)も危機感を感じています。
松山鋼材・向後賢司社長:「外国人が日本に来なくなったり、他の国に行くようなことがあると死活問題になる」

実習生たちの話題の中心になるのが為替です。
インドネシアからの技能実習生:「インドネシアルピア、1円は104ルピア。昔は、1円は140ルピア」
インドネシアからの技能実習生:「お祈りしながら『神様、円をちょっと高くしてください』と」

実習生の寮をのぞかせてもらいました。食生活は、だいぶ切り詰めているようです。
インドネシアからの技能実習生:『(Q.卵は1つだけ)1つだけです。いつもは3〜4つ使う。肉を買うこともできないし、値段も高い」

食事中に漏れたのは、いま、気になる国。韓国やオーストラリアが出てきます。

お金を稼ぐ場所として、もはや魅力的な国ではなくなりつつある日本。

インドネシアから来日する技能実習生は、2019年と比較すると大幅に増えています。一方で、最も多く来日しているベトナムからの実習生は、ピークまで回復していません。

ベトナムで、技能実習生の送り出しに関わるグエン・ヴァン・ティンさん(32)に話を聞きました。
グエン・ヴァン・ティンさん:「私の顧客は、毎年100人を受け入れていたが、今年は80人ほどだった」

ベトナムから日本へ行こうとする人が大きく減ったとまではいえないそうですが、必ずしも、日本で働くのが望ましいわけではないようです。
グエン・ヴァン・ティンさん:「いま日本では、円安になってしまったし、ヨーロッパで働きたいという希望者が増えている。しかし、実際に行くことは難しいと思う。(Q.ヨーロッパのほうが日本のより給料は高いのか)日本の倍ぐらいもらえる」

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