降り続いた雨は農地にも深い爪跡を残した。水稲やニラ・大豆・ネギ…。そして真室川町では伝承野菜が今シーズンの出荷を諦めざるを得ないほどの被害があった。
(農業・高橋伸一さん)
「役場さも伝えた?」
大量の沢水と土砂が道路を乗り越え畑に。「無事でいてほしい」と願った伝承野菜も…。
(高橋伸一さん)
「うわぁぁ、全部冠水。ひどい…」
真室川町平岡の80アールの農地で、コメや大豆など約200種類を育てている高橋伸一さんの畑。
太く、色鮮やかに成長する伝承野菜「勘次郎胡瓜」の栽培に力を入れているが…。
(高橋伸一さん)
「全部雨で穴が空いた。強い雨で叩きつけられて穴が開く。虫が食べたんじゃない」
でも、葉っぱより高橋さんが絶望視するのは泥水を被った根っこ。
(高橋伸一さん)
「根腐れと疫病。酸欠状態の根がずっと雨で叩かれているので、小さくても老化してしまう。上が黄色くなるのが老化のサイン(収穫適期)。本来ならこれぐらい大きくなってから黄色くなるが、こんなに小さくて黄色くなるのは成長のための必要な成分を吸い上げられない根の状態になっている。ことしの収穫はもう終わり。(Q.本来は何月まで?)9月いっぱい」
「弥四郎ささぎ」も収穫の見通しが立たなくなった。
(高橋伸一さん)
「完全にマルチに土砂が乗っかってしまい、収穫できるかわからない。無理かな」
今回の豪雨ではどの農家も同じような被害があった。
(真室川伝承野菜の会・姉崎進会長)
「何か手伝うことねぇがや」
平岡地区はこれまでも幾度となく豪雨災害に見舞われたが、住民たちはその都度、互いに助け合い乗り越えてきた。
(平岡地区・高橋正彦区長)
「これからどうなるかわからないけど、もう降らないでくれれば…。このままの状態でいけばだいぶ違う」
(高橋伸一さん)
「これが最後の収穫。こんなにいっぱい花が咲いてこれから実がなってくる時なのに…。手間をかけて穫り始めるまでの労力・苦労が全部パーになる。しかも片付けるのにもまた労力を使わなければならないのが一番悲しい。でもこんなことで負げでらんね」
※姉崎進会長の「崎」はタツサキ
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