夏休みが始まりました。子どもにとっては、楽しみなことがたくさんあり、普段と違った経験ができる貴重な成長機会でもあります。

しかし、困窮家庭の子ども支援を行っている認定NPO法人「キッズドア」が行った調査(調査期間:2024年5月27日~6月3日調査対象:支援窓口のファミリーサポートクラブ登録家庭)では、小学生または中学生の子どもがいる家庭で、夏休みが「なくてよい」という回答が13%、「今よりも短いほうがいい」が47%と、6割の家庭が、夏休みが来ることに頭を悩ませていることが判りました。


◆どうして夏休みが「なくてよい」のか・・・理由を見ると

「子どもが家にいることで生活費がかかるから(エアコン代など)」78%
「給食がなく、子どもの昼食を準備する時間や手間がかかるから」76%
「子どもに夏休みの特別な体験をさせる経済的な余裕がないから」74%
「給食がなく、子どもが必要な栄養を摂れないから」68%

つまり、多くの保護者は、学校がないことによる負担増をあげ、子どものためを思って夏休みがないほうがいいと考えているようです。

2020年から食糧支援を行っているキッズドアには、こうした家庭から今年も悲痛な声が届いています。


◆「おかずはお豆腐ともやし」

・物価高でお米や野菜まで高くて、おかずの量は完全に少なくなりました。長男が急激に体重が落ち、貧血も酷くなってしまいました

・とにかく肉や魚が買えない。おかず一品しかだせない。そのおかずも食材1種類のみとかになってしまう

・二人で一か月の食費は1万円。フードパントリーでもらった防災用のお米を食べ続けている

・おかずはお豆腐ともやし、たまにお肉が安ければ食べられる


◆98%が物価高騰にあえぐ

総務省が発表した6月の全国の消費者物価指数は、前年同月と比べて2.8%上昇しています。

今回の調査でも去年の同時期に比べて「とても厳しくなった」が約8割、「やや厳しくなった」も合わせると98%が物価高騰にあえいでいる結果が出ています。

今回の調査対象家庭は、今年の世帯所得(予想)「300万円未満」が8割近くを占めていますが、「500万円以上」も2%ありました。

年収がそれなりにあっても、様々な補助金や支援の対象から外れる家庭には、物価高によるひっ迫が起きていると分析しています。

食糧支援を担当している渥美未澪さんも「これまで持ちこたえていた家庭が今年はいよいよ厳しくなったのではないか」と感じています。


◆円安等で輸入品値上げ

キッズドアに支援を求めている家庭は去年の同じ時期より200世帯ほど多くなっています。

登録した保護者に渥美さんが直接話を聞いたところ、今年は円安等の影響も加わった輸入品の値上げがこたえているそうです。

例えば「トマト缶、以前は100円以下で買えましたが、今は150円以上になった」とか、「鶏肉やひき肉などが100g100円以下で買うのが難しくなった」という話が寄せられています。

1つの食材が数十円の値上がりでも、複数が積み重なり、また毎日のことになれば、普段から余裕のない生活を送らざるを得ない困窮家庭にとっては痛い出費です。

もともと8月は、児童手当や児童扶養手当が入金されない月で、学校給食もなく、去年までエアコンをつけることを我慢していた家庭も、まだ7月だというのに気温が40度近くになる日もある今年の暑さでは「もう無理」と感じているそうです。

渥美さんが話を聞いた保護者5人のうち3人は、今でも自分が食べる分を子どもに回して一日2食以下ですが、もっと食費や光熱費がかさむ夏休みをどう乗り切ればいいのか途方に暮れているそうです。


◆伝えたいこと「支援の手は3500人以上」

キッズドアは食糧支援の資金をクラウドファンディングで集めています(7月31日まで実施)。

今年は目標金額の3,000万円を達成し、寄付をした人数も3500人を超えていますが、渥美さんは困窮家庭を支えるのは金額だけではないと話します。

「支援を求めて来る人たちは、どこにも頼ることができなくて孤独を感じていることがとても多い。そんなお母さんやお子さんたちにお伝えしたいのは、直接対応している私たちだけでなく、その後ろには3500人以上の人たちが支援の手を差し伸べているということです」

暑さや空腹に耐える子どもたち。民間が支え続けるだけでなく、国としても解決すべき重要な課題です。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。