(ブルームバーグ):隙間バイトでワーカーと事業者のマッチングサービスを手がけるタイミーの上場は、日本の深刻な労働力不足による商機を浮き彫りにしている。

タイミー株は26日、東京証券取引所グロース市場に上場し、公開価格の1株1450円を28%上回る1850円で取引を開始した。資金調達はせず、既存株主が持ち株を売り出し、市場からの資金吸収額は約470億円と今年最大規模のIPOになる。公開価格ベースの時価総額は約1380億円で、1994年以降に国内で上場したアプリケーション・ソフトウェア企業95社の中で最大規模となる。

タイミーのアプリに掲載されている仕事


少子高齢化などを背景に日本は深刻な労働力不足に直面している。日本銀行の企業短期経済観測調査によると企業の人手不足は拡大しており、特に非製造業では過去30年以上で最悪の人手不足に見舞われている。新規参入企業が出始めているが、タイミーは独自サービスで事業拡大を目指す。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、スポットワーク市場への参入には、タイミーが持つすぐに働けるプラットフォームと知名度を凌駕する必要があるため難しいと指摘した。同時に同業他社の動向はリスクになる上、利用者拡大には広告宣伝に費用がかかるとも指摘した。

ブルームバーグのまとめたデータによると、過去10年間で吸収金額が少なくとも約300億円となった国内のテクノロジー企業IPOでは、上場当日の取引で株価は平均15%上昇している。

ライバル

企業の人手不足感は加速しており、タイミーの潜在的なライバルとなる他社もスポットワーク市場へ参入し始めている。リクルートは今秋にもスポットワークサービスの提供を開始すると発表している。これに先立ちメルカリは3月に同様のサービス、メルカリHalloを開始した。

タイミーの小川代表取締役(23日・都内)


タイミーのクライアントの約半数は物流企業で、飲食や小売りにも顧客を多く抱える。小川嶺代表取締役は、国内のエリア拡大に加えて業種の広がりも目指し、ホテルや介護、保育、製造業などにも顧客企業を広げるため積極的に投資する意向をブルームバーグのインタビューで示した。上場によってサービスへの信頼や安心感も生まれるとし、大企業だけでなく中小企業や個人も利用できるサービスへ進化させたいとしている。

さらに小川氏は、資産拡大手法として、主軸ではないが合併・買収(M&A)は排除しないとし、知名度のある企業があれば業務提携をすることなども含めて選択肢を検討していくとの見解を示す。またエクイティファイナンスも資金調達の選択肢としてあるとした上で、資本効率が良いことからデットファイナンスも視野に入れている。

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