(ブルームバーグ): 世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、日本銀行は現在の政策金利を当面据え置き、日本株に追い風が続くと予想する。同社は日本株のオーバーウエートを確信の高い投資だとみている。

  ブラックロック・ジャパンの地口祐一チーフ・インベストメント・ストラテジストは、日銀の金融政策決定会合は毎回、利上げなどあらゆる選択肢が想定される「ライブ」だとした上で、物価指標に着目すれば政府が8月から電気・ガス料金を補助する中での利上げは困難と指摘。物価に下押し圧力がかかり物価動向の確認が難しいためで、政策運営には12月発表の消費者物価指数(CPI)を見る必要があると読む。

  このため「日本の金融環境は引き続きアコモデーティブ(緩和的)な状況が続く」と地口氏。実質金利のマイナスという企業経営にとって良好な環境は株式市場にもプラスに働き、東証株価指数(TOPIX)は年内にも最高値を再び更新するだろうとブルームバーグとのインタビューで述べた。

  円安是正のために利上げを求める声が政府関係者から上がる中、今月末の日銀の決定会合は消費の弱さで追加利上げの判断が複雑化する状況だ。ただ、日銀は国債買い入れ減額を巡り債券市場参加者会合を開いており、買い入れ減額に関するアクションを取る可能性はあると同氏はみる。

  ブラックロックのリサーチ部門は、日本株を10年超で最大幅の強気見通しに引き上げた。ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは、日本経済の復活とインフレの回復により「日本の株式市場はわれわれの最も強い確信の一つ」としている。

  このようなポジティブな見方は、最近TOPIXの業績予想を引き上げたゴールドマン・サックス証券や、日本株をオーバーウエートに追加したHSBCホールディングスでも同じだ。

  一方、シュローダー・インベストメント・マネジメントは、円安による輸入コストの上昇で株式への好影響が薄れ始め、消費者や中小企業のセンチメント悪化の兆しがあるとして、日本株を中立に格下げした。

  東京証券取引所やアクティビスト(物言う投資家)から資本効率を求める動きも出て、企業の考え方は変わった。日本経済がデフレからの脱却が視野に入る中、企業はコスト削減から値上げへ動くなど構造変化が起きており、「過去とは決定的に違う」と地口氏は指摘する。

  地口氏は、日本株の中ではハードウエアテクノロジー株が魅力的だと指摘。半導体関連や電子部品株が含まれるとし、生成人工知能(AI)のビジネス拡大や米中関係の緊張の高まり、高齢化による医療技術への需要などから恩恵を受けると話した。

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