(ブルームバーグ): トヨタ自動車は23日、株式公開買い付け(TOB)を実施して三菱UFJフィナンシャル・グループや、東京海上日動火災保険などが持つ政策保有株を取得すると発表した。すでにトヨタが設定している1兆円を上限とする自社株買いの枠を活用するという。

  トヨタの発表資料によると、TOBを通じて2億9012万2345株の買い付けを予定。価格は1株あたり2781円で23日の終値からは約11%のディスカウントとなる計算で24日から8月26日まで実施する。応募予定の株主には三井住友フィナンシャルグループやMS&ADインシュアランスグループホールディングなども名を連ねる。

  トヨタの株価はブルームバーグの報道を受け、一時前日比2.1%高まで上昇した後、同0.2%安に下落するなど値動きの荒い展開となった。終値は0.6%高の3109円だった。

  トヨタは今回のTOBについて、「モビリティカンパニー」への変革に向けた筋肉質なバランスシート構築のため、継続して取り組んでいる政策保有株式縮減の一環として行うものだと位置付けた。

  日本では、企業が取引先の企業や金融機関などと株式を持ち合う慣習が長年続けられてきたが、近年は資本効率改善の観点などから解消に向けた取り組みが急速に進んでいる。大手金融機関による国内最大の企業であるトヨタ株放出の動きは初めてで、持ち合い解消の流れを象徴する動きといえそうだ。

トヨタのロゴPhotographer: Stefan Wermuth/Bloomberg

  トヨタ自身も昨年11月、トヨタグループの株式持ち合いの見直す考えを公表。その後、系列部品メーカーである デンソーや アイシンなどの株式を売却した。

  トヨタは取引先による同社株の売却要請にも備えるとして、5月9日から25年4月30日を期限に上限1兆円の大規模な自社株買い枠の設定を発表していた。

  自動車業界では ホンダも今月、東京海上や損害保険ジャパンなどが同社株を売り出すと発表した。

  東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは、株式持ち合い解消の受け皿として、自社株買いを行うということは「株主にとっていいことだ」との見方を示した。

--取材協力:高橋ニコラス、Supriya Singh.

(トヨタの発表を受けて記事を更新します)

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