百貨店の夏の風物詩「セール」の形が変わってきています。気候変動の影響や消費者意識の変化を受け、開始時期を遅らせる百貨店も出始めました。
■松屋銀座 「夏のセール」3週間遅れでスタート
百貨店の「夏物セール」 この記事の写真初夏の訪れとともに、例年、百貨店で行われてきたのが「夏物のセール」です。
女性(30代)「もうすぐセールが始まると聞いて」 女性(60代)
「夏のワンピースが欲しい」 男性(10代)
「今、洋服は買いたい。セールと聞いたら行きたくなります」 百貨店セールに変化
しかし今、“夏の風物詩”とも言える百貨店のセールに変化が起きているのです。
3週間遅らせて開始松屋銀座では例年、6月下旬ごろから始める夏のセールを今年は3週間遅らせてスタート。変更した理由は…夏の暑さです。近年、暑い時期が長くなり、プロパーつまり定価販売の夏物が売れる期間が延びているため、セールの開始時期を遅らせました。
松屋銀座 大高壽美代副店長 松屋銀座 大高壽美代副店長「フレッシュな商品をプロパー(定価)でしっかり提案することの方が、適時、適品ということかなと思った」
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■セール品だけでなく…“定価品”も売れる■セール品だけでなく…“定価品”も売れる
暑さはセールの“時期”だけではなく、“中身”も変えようとしています。
高島屋 MD本部 嶋廻由希子部長 高島屋 MD本部 嶋廻由希子部長「スタート時点から(夏物の)定価品の方も新しいものをたくさん取りそろえて」 高島屋の夏セール
高島屋では、セール品を販売するのと並行して、定価販売の夏の新商品を例年より多く売り場に投入。さらに、セール後、これまでは秋物の新作を販売してきましたが、ここでも夏の新商品の販売を行うことにしました。
嶋廻部長「商品企画をかなり細分化して展開」 嶋廻部長「クリアランス(セール)が終わると秋物が展開される、秋を感じる商品が展開されるというのが例年の展開だったが、やはりこれだけ暑い夏が長期化しているので、商品企画をかなり細分化して展開しているというのがポイントになる」
安く商品を購入できるセールの最中とその直後に、定価販売の夏の新作商品を投入する意外な戦略。その効果は、数字に表れているといいます。
嶋廻部長「定価品の方は例年よりも十数パーセント好調な推移 嶋廻部長「セール品というのは前年同様の動き方。定価品の方は例年よりも十数パーセント好調な推移」
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■なぜ定価品売れる?「消費マインドの変化」■なぜ定価品売れる?「消費マインドの変化」
なぜ、この時期に定価の新作商品が売れているのでしょうか?専門家は次のように話します。
デパート新聞 山田悟編集長 デパート新聞 山田悟編集長「消費マインドの変化が一つ大きくあると思う。安いから買おうではなく、絶対にほしい物しか買わない。そういったものに客が変化しているので安ければいいのではないと」 「安いから」→「ほしいものだけ」
消費者の気持ちが「安いから買う」ではなく、「今、本当にほしいものだけを買う」というふうに変化してきているといいます。
そうした消費者心理を敏感に嗅ぎ取り、セールの時期をずらしたり、夏物の新作商品の投入を増やしたりして売り上げアップにつなげている百貨店。
消費者側にもメリット一方で、夏のセールの変化は私たち消費者側にもメリットがあるといいます。
山田編集長「百貨店のはしごをして…」 山田編集長「伊勢丹とかが6月末にスタートする。松屋銀座が7月19日から遅らせてスタートする。その後のクリアランス(セール)まで入れれば、2カ月近く夏のセールが続いているという状況。百貨店のはしごをして、買いたいものを安く買うことが賢い消費者。一つの選択肢だと思う」
(「グッド!モーニング」2024年7月23日放送分より)
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