JR南仙台駅で利用者のおよそ半分がホームまで遠回りせざるを得ない状態が長年続いています。四半世紀にわたって改善を求めてきた住民たちの声に対しここへきて動きが出てきました。

太白区中田にあるJR南仙台駅。東北本線、常磐線、仙台空港アクセス線の3つの路線が利用できる駅です。駅の利用者数は、1日に約9000人。仙台市内にあるJR東日本の駅では、利用者数が3番目に多い駅となっています。
ところが、この南仙台駅、およそ半分の利用者にとってはとても不便な駅になっているのです。

南仙台駅の利用者
「ホームまで遠いのでギリギリで通った時、走んなきゃいけないっていうのもありますし、使いづらいイメージはあります」

南仙台駅は東と西、両側に駅前広場があり、利用者数はほとんど同じ。にもかかわらず、改札は東口にしかないのです。西側からホームに入るには一度、連絡通路を渡り、改札のある東口へ。改札を通った後も、仙台方面へ向かう電車に乗る場合は、駅構内のこ線橋を渡るという“二度手間”のような状態です。
西側から仙台方面のホームへは、階段の上り下り4回を含む約250メートルの距離を歩く必要があり、東側からアクセスするより150メートルも多く歩かなくてはいけません。

どうして、このような状況ができてしまっているのか。南仙台駅の西側の地域で町内会長を務める阿部清孝さんは駅周辺の住宅環境の変化が背景にあると話します。

阿部清孝さん
「昔はこちら田んぼだったんですよね。だから東口が利便性高いのは分かっていたんですけれど、西口の住人がほとんど同等になってきた場合にこちらの利便性を高めるための施設が少な過ぎるという感じですよね」

南仙台駅は、今からちょうど100年前、1924年に陸前中田駅として開業しました。
西口は、開業当初、利用者がほとんど見込まれていませんでしたが、その後、急速に住宅地として発展し利用者数が大きく増えたため、現在のようないびつな状況になってしまったのです。
住民たちは駅舎につながる通路などを整備する仙台市に四半世紀にわたって改善を要望してきましたが、ここへきて、ようやく動きが出てきました。

仙台市が住民に対して、4つの改善案を示したのです。
1、連絡通路に簡易改札を設置し、直接ホームへ下りる通路を作る
2、こ線橋につながる通路を増設し、簡易改札を設置する
3、無人の踏切を作る
4、西口側にホームを増設する
どの案も今より利便性が向上します。

仙台市の説明会参加者
「西口の私たちにとっては非常に便利になると思いますので、ぜひともお願いしたいなというふうに思っているんですが…」

一方、4つの案以外を望む声も出ました。

仙台市の説明会参加者
「長期的な見方で、高架にするという考えでいかないと。最初から高架化で話を進めた方がいいかと思いますけれどね」

高架化は線路自体を陸橋にしてしまうもので、長町駅が2006年にこの形に改修されました。また、岩切駅は駅を線路よりも高い位置に置く橋上駅というタイプです。岩切駅はもともと南仙台駅と全く同じ状況で、南北で利便性に大きな差がありましたが、住民の声を受けて2018年に改修されたという経緯があります。
ただ、どちらも工事に時間と費用が多くかかるのが難点。これに対して市の示した4つの案は着工から3~4年で工事が終わる見通しだといいます。

仙台市公共交通推進課 菊池信幸課長
「説明会等を通じて地域の皆様からは、西口に改札ができることにより便利になるといった声や早期に実現を期待する声をいただき、多くの方々が改善を望まれていると受け止めています」

阿部清孝さん
「なるべく早く解決してほしいなということで、市の方で3年4年というところを現実化していただいているわけですから、できればその日程でなるべく早く解決してもらいたいですね」

一日9千人が利用する南仙台駅。住民たちの不便は解消されるのか。仙台市は今後、JR東日本とも協議にあたりたいとしています。

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