(ブルームバーグ): 7月第3週(16-19日)の日本株は弱含む見通し。外国為替市場で急激な円高が進み、今期業績の上振れ期待が後退しやすくなっている。半面、国内外で発表が増える直近の企業決算は相場を支える可能性がある。

  円相場は11日の米国市場で1ドル=161円台から157円台に急騰。市場で日本当局の介入観測が広がっており、値動きは不安定になっている。日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、6月調査)で企業の今期想定為替レートは144円77銭。今後も円高が進むと業績上振れ期待が縮小しやすい上、日銀利上げ観測の後退で円金利が低下すれば金融株にマイナスに働く。

  決算は国内外で半導体関連企業の発表が相次ぐ。17日はオランダ装置メーカーのASMLホールディング、18日は受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と日本のディスコが発表予定。ディスコは4-6月期の個別速報値が5割を超す増収となっており、連結での好調が再確認できれば好感されそうだ。

  米国では15日にゴールドマン・サックス・グループ、16日にバンク・オブ・アメリカ、18日にネットフリックスなどが業績を開示予定。経済指標では16日に6月の小売売上高の発表がある。市場では前月比での減少が予想されている。米消費者物価指数(CPI)の予想比下振れで高まった利下げ観測をさらに強める可能性もある。

  このほか、中国では15日に国家統計局が4-6月の国内総生産(GDP)を発表する。15-18日には共産党が第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を開催する。第2週の東証株価指数(TOPIX)は過去最高値を更新し、週間では0.4%高と3週続伸した。


《市場関係者の見方》

アセットマネジメントOneの清水毅チーフマーケットアナリスト

  円相場の落ち着きどころを探る週になりそうだ。為替介入も指摘される中、前回の介入時とは米景気の位置が明確に違うため、今回は簡単に円安には戻らない可能性がある。現在の為替水準なら業績に影響はないが、円高の勢いが強まるなら株価はもたなくなる。ただ、金融や半導体など国内外企業の決算は悪くないだろう。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャー

  株価上昇はいったんストップとみている。日経平均株価の4万2000円水準は5%程度の増益イメージで、決算発表を前にして少し早い印象。大きな経済指標も見当たらず、為替のボラティリティー(変動性)が高まることは投資判断を迷う材料になる。

--取材協力:我妻綾、横山桃花.

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