7月10日、静岡県の鈴木知事が初めて静岡市葵区の山間部にあるリニア新幹線の静岡工区を視察しました。就任後からJR東海の社長や国交相に面会するなど、精力的な動きを見せてきた知事ですが、現場を見てどう感じたのでしょうか。
鈴木知事が静岡工区を初視察
静岡市の中心部から北に車で3時間半あまり。たどり着いたのは、リニアの静岡工区の工事現場です。
雨の中、県職員やJR東海の関係者などとともに現れた鈴木 康友 知事。就任から1カ月あまりが経ちました。
県政の課題の1つであるリニア建設。さっそくJR東海の担当者から説明を受けます。
川勝前知事は一貫して厳しい姿勢
リニアの静岡工区に知事として初めて視察したのは川勝知事です。
2019年、鈴木知事と同じ場所を見て回りましたが・・
川勝 平太 知事(2019年6月 当時):
(Qトンネルの本体工事にゴーサイン出せる?)
いまはとてもじゃないけどゴーサインを出せるような状況ではありません
その翌年にも、工事現場に続く作業道などを視察し何度も、周辺の地質の軟弱性や危険性を指摘していました。
川勝 平太 知事(2020年6月 当時):
台風19号でしたか、あれで向こうの重機がここまで流れてきたんです 見るも無残な状況だった。これがずっと27km続いているんです
さらに、大井川の水が減少する問題に対しJRが提案したダムの取水を抑える案について約2年前に大井川の上流にある田代ダムを視察した際には・・・
川勝 平太 知事(2022年8月 当時):
それが実現できれば、みんなが喜ぶので広い意味での地域貢献だと受け止めてます。
(Q県が求める全量戻しの案にはなりうるんですか?)
なりえません
視察の度に、一貫してJRの対策や提案に厳しい姿勢を見せていた川勝知事でした。
田代ダムなど6カ所を視察
果たして鈴木知事は現地の状況をどうとらえたのか。
7月10日 鈴木知事はトンネル掘削で出る土砂の置き場やトンネルを掘る場所などを視察。川勝前知事が当時JRの対策に厳しい姿勢を示した田代ダムなど6カ所をまわりました。
6カ所中5カ所は、非公開で報道陣に公開されたのは1カ所のみ。
池谷 庸介 記者:
こちらが鈴木知事がきょう(7月10日)最後に視察をする場所になります。導水路トンネルの出口と言われている場所で、大井川のトンネル工事で出た水が最後に大井川に戻る場所になります
導水路トンネルはリニアが通るトンネルの中に流れ込む水を大井川に戻すためのものです。鈴木知事はJRからトンネルを掘る方法などについて説明を受けます。
JR担当者:
ここに取り付けたカッターが回転して岩盤を掘削していく方法です
鈴木知事:
これは本坑の時は使わないの?
JR担当者:
本坑は使いません。かなり小さいです
鈴木知事:
だけど三遠南信の道路はかなりでかい
JR担当者:
使ってる所もあります。飛騨トンネルなど使っている。だた岩質による所もあり、今回は本坑では難しいと判断している
聞きたい点について簡潔にたずね、ここでの視察はわずか4分ほどで終わりました。
視察を終えた知事は
視察を終えた知事は。
鈴木知事:
「百聞は一見に如かず」ではないが現場、特に重要な現場を確認させてもらい、より理解を深めることができた。とてもよかったと思う。(JRの対策は)しっかり進んでいることは確認ができたので。ただ28の整理した対話項目があるし、あとは専門家にしっかり判断してもらうことが必要だと思う
(Q懸念はない?)
そういう風に答えることはできない。まだまだ課題はあると思っている。懸念ではなくて課題はあると認識している
JR東海・水野 孝則 副社長:
ものすごく色々なことを吸収してもらったと思う。いくつかの質問、同行した専門部会の方からの質問についても当社としては適確に説明できたのではと考えている。非常に熱心に話を聞いてもらえた
JRに対して一定の評価はしたものの「課題はある」と答えた鈴木知事。
今後は山梨工区についても早いうちに視察する予定でいろんな場面で強調する「スピード感」を持った対応が続いています。
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