マグロの王様とも呼ばれるクロマグロが、今後は安くなるかもしれません。太平洋のクロマグロの漁獲枠などを話し合う会議が北海道・釧路で始まりました。

■クロマグロの「漁獲可能量」拡大なるか

上村彩子キャスター:
寿司や刺身で大人気の「本マグロ」ともいわれるクロマグロ。漁獲枠などを話し合う国際会議が始まりました。

「太平洋でのクロマグロの漁獲枠などを話し合う国際会議(中西部太平洋マグロ類委員会)」は7月10日~16日まで北海道釧路市で行われ、日本・アメリカ・韓国・オーストラリアなど13の国と地域が参加しています。

太平洋のクロマグロは、かつて乱獲などにより資源量が大幅に減少したことから、国際的な資源として管理をすることとなり、国際合意で「漁獲可能量」が定められています。

太平洋クロマグロの親魚資源量を見ると、2010年に向かって減少。しかし、漁獲枠などを設けたことで増加し、現在は最も少なかった2010年と比べ10倍以上に回復しました。回復目標は12.5万トンでしたが、そのラインを大幅に超えているような状況です。

このことから、日本は▼大型マグロ(30キロ以上)の漁獲枠を2.3倍、▼小型マグロ(30キロ未満)は30%増にする提案をしました。

水産庁の担当者は「日本が提案した全ての条件を通すのは難しいと思うが、少しでも漁獲枠を増やしたい」と話しています。最終的な決定は12月、実施するなら2025年1月からとなる見通しです。

■マグロ部位別おススメの食べ方は?

漁獲枠が増えれば、私達はもう少し安く食べられるようになるかもしれません。マグロ専門店「一番星」の高川航社長は「クロマグロは高級品ですが、部位によって様々な食べ方が楽しめる」と話します。

マグロの主な部位は、骨の周りにある「赤身」、赤身の周りにある「トロ」です。トロは中トロの部分が多く、大トロは内臓の周りにある部分です。

高川社長に部位別のおススメの食べ方を聞きました。

・大トロ:あぶらが多いので、酢飯や大葉でさっぱりと「手巻き寿司」
・中トロ:マグロのあぶらを存分に楽しむために「どんぶり」
・赤身:醤油とワサビで王道に「刺身」

この様に食べるのがおススメだそうです。

井上貴博キャスター:
新鮮なものをどこでも食べられるのは、世界的にも日本の冷凍技術や、輸送技術がトップクラスだから、と言われています。

田中ウルヴェ京さん:
国によりマグロのニーズが違うので、課題や「どのように食べるか」も違うと思います。それに合わせて国際会議をすることや、安く食べられる事も大事です。しかし「希少価値を保ちながら長く食べ続けられる」需要と供給のバランスが難しいのだと思います。

ホラン千秋キャスター:
生き物なのでコントロールできるわけではない。今の資源量は一番減ったときと比べて10倍以上ですが、いったん減ってしまうと(元に戻るまでに)10年ぐらいかかると考えると、長期的な目線でどれくらいが本当に適正なのか、海の豊かさも守りつつしっかりとした議論が必要ですね。

■マグロの消費量日本一は静岡市!一体なぜ…?

上村キャスター:
日本人はマグロが好きですが、マグロ全体の年間消費量(二人以上の世帯)を見ると、2002年は約3.6キロでしたが、2023年は約1.6キロと半分以下に減少しています。

しかし、マグロが好きな地域があります。

【年間消費量市区町村別ランキング】
1位:静岡市(約3.7キロ)
2位:相模原市(約2.9キロ)
3位:宇都宮市(約2.7キロ)
(全国平均:約1.7キロ)

なぜ静岡市が1位なのか、静岡県の担当者に話を聞くと「水揚げ量で全国1位の清水港があり、安くて新鮮なマグロが手に入りやすい。奮発して食べる魚ではなく身近な魚で、晩酌のお供でよく出てきます。『へそ』と呼ばれるマグロの心臓はなかなか出回らない希少部位でとても美味しいです」と話していました。

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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学(博士)
五輪メダリスト
慶応義塾大学特任准教授
アスリートの学び場「iMiA(イミア)」主宰

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