匠の技を次の世代につなぐ後継者インターンシップとは。

国の重要文化財である「霊台橋」や日本一の石段がある豊かな自然環境に恵まれた熊本・美里町。

美里町で大正10年から約100年もの長きにわたり、昔からの製法を守り続ける工房「隈部刃物製作所」があります。

しかし、隈部刃物製作所・隈部寛店主は「後継者がいない。職人不足になりつつある。『メイドインジャパン』がなくなるのと一緒という“危機感”」と話します。

真剣に師匠の技を学ぶのは、熊本県の伝統的工芸品指定を受けた「隈部刃物製作所」へと弟子入りした若者たち。

2年前まで3代目の店主と4代目の息子の2人で支えてきたこの工房ですが、2023年と2024年で3名の若手職人を採用しました。

この採用の背景にある理由について、隈部店主は「現在、海外のアメリカやドイツから(伝統工芸品を)買い付けに来る。その中で国内でも職人向けも多くなり、それに対して生産能力が足りない。うちだけでは一点集中になり、大変仕事が多く休みも取れない」と話します。

近年、インバウンドで日本の伝統工芸品への需要が高まる中、いわゆる手仕事の工房では後継者や職人不足問題が深刻化しているといいます。

そんなとき職人不足問題解決の糸口になったのが、動画メディア「ニッポン手仕事図鑑」が手掛ける後継者インターンシップです。

工房で単に1泊2日のインターンシップを行うだけでなく、町の案内や補助金などの制度、移住に関するサポートも行っています。

ニッポン手仕事図鑑・大牧圭吾代表取締役社長は「工房での時間だけではなくて、“その町の暮らしってどんな暮らしなんだろう”とか、そういったところをしっかりと見せてあげることで、安心してその地域に移住をして仕事をスタートできるのは本当に大事なポイント」と話します。

工房への職人希望者に町の暮らしを具体的にイメージしてもらうことが移住時のミスマッチを減らし、高い就業定着率につながっているといいます。

後継者インターンシップ内定者からは「普通のインターンシップだと職場体験はすごく充実しているが、移住にあたって町並みを見るとか、人々の様子を見ることにすごく重点がおかれていたので、不安もなく移住できた」「インターンが終わった後も1回つながった人たちは切り捨てないでずっと関わってくれるところがすごくいい」などといった声が聞かれました。

隈部刃物製作所・隈部店主は「長くは元気じゃないかもしれないので、現代の利用価値があるのは、どんどん取り入れて(自分の技術を)残したい」と話します。

他にも本や自主制作動画などで日本全国の手仕事の魅力発信をしながら地域活性化のサポートを行っている「ニッポン手仕事図鑑」。

匠の技を次世代へつなぐ“後継者インターンシップ”の今後について、ニ大牧代表取締役社長は「(職人たちが)自分たちの仕事を“時代遅れ”みたいに思ってしまっている先入観を持っているが、実際にふたを開けてみたときに(職人希望者が)これだけいるっていうのは、他の職人も“もしかしたら後継者を雇用できるかもしれない”という希望に変わっていく」と話しました。

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