そもそも製糖工場は事業者が営利目的で利用する施設で、指定管理者制度の適用対象となるような住民が日常的に使う「公の施設」に該当しない。

 住民の雇用確保という点で捉えているのかもしれないが本来の趣旨と異なる。沖縄県や北海道などの小規模自治体で特に、投資余力がない事業者が自治体に施設建設を要望し、自治体が公的な施設として建設し、管理運営を業者に任せる形式はよく見られる。

 指定管理者制度は、施設が一定の性能を維持すれば管理は受託者の裁量に任せる「性能発注」と言われ、利用時は責任の所在を明確にする必要がある。施設の建屋と主要設備の管理は自治体の責任で、施設を運営する責任は事業者にあり、通常は「リスク分担表」で互いの責任を明示する。調停申立書を見る限り、ここが明確になっていない。

 日常的な保守点検は専門知識を持たない伊平屋村が責任を負うことはないが、全て製糖業者のみに責任があるという考えは誤り。村は工場所有者として第三者に調査依頼するなど原因追及し、JAやメーカーなどに改善命令を出すべきだ。(公共施設マネジメント)

(写図説明)元東洋大学客員教授の南学氏(本人提供)

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