(ブルームバーグ): 大ヒットしている減量薬や糖尿病治療薬に、肥満と密接な関係がある一部の一般的ながんの発症リスクを低下させる可能性があることが、新たな研究で示唆された。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬を処方された2型糖尿病患者は、インスリン治療を受けた患者よりも肥満に関連したがんの発生が少なかったことが、医学誌JAMAネットワーク・オープンに5日掲載された研究論文で明らかになった。しかしこうした新薬は、がんリスク低減作用が知られている旧来の糖尿病治療薬「メトホルミン」よりも優れているわけではなかった。
今回の研究が対象とした薬剤には、デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクの糖尿病治療薬「オゼンピック」も含まれている。この研究が終了して以降、同様の働きをする2つの薬品が減量薬として承認された。ノボの「ウゴービ」と米イーライリリーの「ゼップバウンド」だ。
この研究は、2018年11月までの15年間における2型糖尿病患者160万人余りの電子カルテに基づいている。オゼンピックが米国で発売されて1年も経っていなかったため、研究に参加したGLP-1患者のほとんどは、ノボの「ビクトーザ」など第一世代の糖尿病治療薬を服用していたことになると、データ解析を担当した米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部学生のリンジー・ワン氏は述べた。
それでもこの研究は、広く普及している糖尿病治療薬や減量薬ががんの予防に役立つ可能性があることを示唆する新たな証拠だ。これらの薬剤が特定のがんを本当に予防できるかどうかを立証するには、GLP-1製剤や他の治療薬を無作為に服用させるなどの追加研究が必要になるだろう。
米国がん協会の患者担当最高責任者アリフ・カマル氏は「がんリスクに関して言えば、肥満は現代のタバコだ」と指摘。GLP-1に関する初期の証拠には 「説得力がある 」と話した。
原題:Drugs Like Ozempic Linked to Lower Cancer Risk in Study (1)(抜粋)
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