(ブルームバーグ): 4日の日本市場では株式が5営業日続伸し、東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価は終値ベースで史上最高値を更新した。低調な経済統計を受け米国の年内利下げ観測が強まり、リスク選好の買いが入った。債券相場は上昇し、円相場もドルに対し小幅に上昇した。
米国で3日に発表された供給管理協会(ISM)の非製造業景況指数や新規失業保険申請件数など複数の経済統計がいずれも市場予想から下振れ、同日の米10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.36%と4日ぶりの低水準となった。
IGアジアのマーケットストラテジスト、ジュンロン・イープ氏は、利下げ観測による「米金利低下とドル下落は投資家のリスクセンチメントを下支えする」と指摘し、米国の経済成長見通しが鈍化していることから、9月利下げも「ないよりはある可能性が高いだろう」と述べた。
株式
東京株式相場は5日続伸。TOPIXは史上最高値を34年超ぶりに更新し、日経平均も3月22日に付けていた最高値を上回った。経済指標の下振れで米利下げ観測が高まり、国内市場でもリスク資産への買いが先行した。
自動車や機械など輸出株、商社や非鉄金属、海運など資源関連株中心に買われ、銀行株も堅調。東証33業種中、28業種が高い。水産・農林や電気・ガスなど5業種は下落。売買代金上位では三菱重工業やIHI、ソフトバンクグループ、ルネサスエレクトロニクスが買われ、海外銅相場の上昇を材料に住友金属鉱山は急伸。一方、防衛省との潜水艦修理契約で架空取引が判明した川崎重工業は大幅安。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「TOPIXの動きは名実ともに日本市場全体の底上げと最高値を示す」と評価。 シンガポールのオルタス・アドバイザーズで日本株戦略責任者を務めるアンドルー・ジャクソン氏は「日経平均は輸出やハイテク企業の比率が高いため、TOPIXがキャッチアップすることに大きな驚きはない」と述べた。
債券
債券相場は上昇。年内利下げ観測の高まりで米国の長期金利が低下したことを受けて買いが先行した。30年国債入札は無難に終えたが、投資家の需要は強くないとの見方からやや伸び悩む場面があった。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、30年債入札は「金利水準面で悪くなく、無難に終えた」と指摘。ただ、「応札倍率が低下するなど、今回の結果で債券相場の地合いが強くなる感じはしない。投資家需要がそれほど強くないため在庫を持ちづらいとみられ、相場は軟化していく可能性がある」との見方を示した。
入札結果によると、最低落札価格は100円10銭と、市場予想100円ちょうどを上回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は7銭と、前回の9銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.97倍と、前回の3.59倍から低下した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、30年債入札は「最低落札価格が予想を上回り、テールも小さかった」と指摘。「日銀の債券市場参加者会合や金融政策決定会合までは不確実性が高く、買いにくい状態がしばらく続くだろう」とも述べた。
財務省:30年利付国債入札結果(表)
新発国債利回り(午後3時時点)
外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台前半と小幅に上昇。米国の祝日を前に持ち高調整や米金利低下を受けたドル売り・円買いが優勢となった。ただ、161円台前半では日米金利差を背景とした円売り需要も強く、取引レンジは狭い。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、米金利低下や祝日を背景に利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが出ているのではないかと指摘。また、公示仲値にかけてドル売りが強まったとし、「米国が休みでどちらかというと余っているドルを円転する動きが多かったのではないか」と言う。
4日の米国は独立記念日の祝日で休場となる。市場では流動性の薄い中で為替介入を警戒する声も一部で聞かれている。諸我氏は現実味は乏しいとしながらも、「ゴールデンウィークの急激な円高の動きの記憶も新しいことや水準感から神経質にはならざるを得ない」と語った。
--取材協力:横山桃花、我妻綾、Richard Henderson、日高正裕.
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