(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、バークレイズなど大手金融機関は、11月の米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した場合に債券市場でどのような展開になるかを新たな目で見直している。
先週の討論会の結果、バイデン大統領再選の可能性は低下したと受け止められていることを受け、ウォール街のストラテジストらは顧客に対し、根強いインフレと長期債利回りの上昇に備えるよう促している。
モルガン・スタンレーでは、マシュー・ホーンバック氏らストラテジストが週末のリポートで、長期金利が短期金利より相対的に上昇すると賭ける時だと論じた。
同行は6月27日の討論会以降、トランプ氏が世論調査で支持率を伸ばしたことは、さらなる米利下げにつながり得る経済政策と、共和党の圧勝による財政拡大と長期債利回りへの上昇圧力の可能性を投資家は熟考しなければならないことを意味すると分析した。
一方、バークレイズは、トランプ氏勝利の見通しが高まった場合の最善の対応は、インフレヘッジだと指摘。ストラテジストのマイケル・ポンド氏らは28日に、5年物のインフレ連動債(TIPS)証券が通常の5年物米国債をアウトパフォームするという賭けだと述べた。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオ・マネジャー、ジャック・マッキンタイア氏のようなバイサイドの投資家は一段と注目している。
マッキンタイア氏は「債券自警団が討論会の結果を受けて早くも出てきていることを懸念している」と述べ、バイデン氏のパフォーマンスや弱めのデータ、原油価格上昇などが重なり、11月に共和党が圧勝する確率は高まるだろうと予想した。
米国債相場は7月1日に下落した。トレーダーによると、トランプ氏返り咲きの可能性が先週高まったことの影響が続いている。また、トランプ氏が2020年米大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された事件を巡る米連邦最高裁の1日の判断も相場の下げを拡大させた。連邦最高裁は免責特権を部分的に認める判断を下したことから、11月の大統領選前に公判が開かれる可能性は低下した。
米国債利回りの上昇を主導したのは長期債。30年債は一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し4.65%と、5月31日以来の高水準となった。
ただ、長期債利回りの上昇とイールドカーブ(利回り曲線)スティープ化は不可避だとウォール街の全員が確信しているわけではない。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ジョージ・コール氏らは討論会後、共和党勝利の場合に米債券利回りがどう反応するかについては、タームプレミアム拡大を見込む債券売りがコンセンサスとなっているが、フラット化リスクを支持する議論もあると指摘。選挙が近づくにつれ、投資家の関心は財政支出から関税引き上げのリスクへと移り、それが生産性と成長の重しとなる可能性が高いとの見方を示した。
原題:Wall Street Maps Out What a Trump Victory Would Mean for Bonds(抜粋)
--取材協力:Robert Fullem、Ye Xie、Masaki Kondo.
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